Marc Benno / Minnows (1971)
2006年 05月 04日
本作に参加しているJesse Ed Davisの『Ululu』(1972)を先に聴いていたためか、スワンプ・ロックということで汗臭い音を勝手に想像していたのですが、意外と淡白な印象を受けあっさりと聴き進むことが出来ました。
彼の歌声もそこはかとなく内省的な雰囲気です。スワンプ臭というよりも、むしろ繊細な一面を強く意識させてくれます。
何を置いてもN6「Good Times」の切なさが溢れる佇まいに胸が詰まりそうになります。
また、ストリングスが入るM4「Speak Your Mind」やM9「Before I Go」の持つ物悲しさにはかえってシンガー・ソングライターとしての資質が浮き彫りになります。
M3「Stone Cottage」やClarence White参加のM5「Back Down Home」などに聞かれるブルースそのものといった楽曲を通して、いかに彼がブルースに根ざしているかを窺い知ることが出来ます。
3分未満ながら壮大な景色が目の前に広がるM10「Don't Let The Sun Go Down」が期待に違わぬ本作の最後を飾ります。
Marc Benno自身もギターは勿論、ピアノやオルガンを操るのですが、以前に採り上げた『Howdy Moon』にしても本作にしてもバックを支える顔触れが本当に豪華です。
先に挙げたJesse Ed Davis(g)を筆頭にJerry Mcgee(g)、Clarence White(g)、Bobby Womack(g)、Carl Radle(b)、Jerry Scheff(b)、Jim Keltner(ds)、Nick DeCaro(accordion)、Rita Coolidge(vo)といった具合です。