Jimi Hendrix / Hendrix In The West (1972)
2006年 09月 10日
まさに神業、口あんぐりのエレクトリック・ギターが炸裂し、たった3人で作り出した生音であるとはにわかに信じ難いものです。
他意なくつんのめり気味に疾走するM1「Johnny B. Goode」ではよれたJimi Hendrix の歌声も何のその、縦横無尽に駆け巡るエレクトリック・ギターで以てロックンロールの神様、Chuck Berryを軽々とひと跨ぎ。空間が歪むかのようなギターソロをぶちかましてくれます。
尤も他の収録曲でも今まで聞いたこともない演奏の連続です。
これまた疾風怒濤のM2「Lover Man」に、古典中の古典M3「Blue Suede Shoes」Carl Perkinsの超絶カヴァーが続きます。
以上の3曲は1970年5月、カリフォルニアはバークレイ・コミュニティ・シアターでの録音です。特にM2「Lover Man」は『Live At Berkley』(2003)にも収録されています。
イギリス国歌M5「The Queen」に続いて雪崩れ込むM6「Sergeant Pepper's Lonely Hearts Club Band」The Beatlesの荒々しいカヴァーという2曲が『ワイト島フェスティヴァル』からの音源でして、今では完全版の『Blue Wild Angel』(2002)のDisc1の冒頭に収録されているものであるとのことです。
1969年2月のロイヤル・アルバート・ホールからは粘着度のひと際高いM4「Voodoo Chile」と希代の名曲M7「Little Wing」が収められています。実際にはブックレットにある記載は誤りであるようです。
甘美な響きさえ湛える本盤収録のM7「Little Wing」は文字通り、永遠の至宝とも呼ぶべき美しさを備えています。
最後を飾るのが、淫靡なエレクトリック・ギターが10分以上も熱く全面展開するM8「Red House」です。こちらは1969年5月のサンディエゴ・スポーツ・センターからの音源です。
これら3曲は驚異の4枚組ボックス・セット『The Jimi Hendrix Experience』(2000)にも収録されていまして、それぞれNoel Reddingがベース・ギターを務めています。
手持ちのCDは旧西ドイツ盤でありましてとうに廃盤であるようですが、二十歳前後に幸いにも本盤によって初めてJimi Hendrixを体験した訳です。