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by chitlin
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This Charming Man / The Smiths (1983)

 The Smithsにとって2枚目のシングルであり、その初期を代表する楽曲でもある「This Charming Man」。ともすれば、グループの命運だけでなくThe Smiths信者にとってその人生を左右するような最大のアンセムだったと言っても過言ではないでしょう。

This Charming Man / The Smiths (1983)_e0038994_14082.jpg

 解散から5年の歳月が過ぎ、彼らに対する再評価の機運が高まったのでしょうか、2枚のベスト盤が発売され、その内の『Best...Ⅰ』(1992)から切られたシングルとして、2種の『This Charming Man』(1992)も再発売されました。
 これは当時、イギリスのヒット・チャートにおいて流行していた、ひとつのシングル曲に対して俗に言うB面曲を増やすことで“Part 1”と“Part 2”とに分けての発売に則ったものです。

 今回、採り上げるCDはその“Part 2”の方でして、ご丁寧にもCDケースが2枚組仕様になっており、“Part 1”を購入することである意味完品となるといった具合なのです。
 本来は1983年に発売された2枚目のシングルですから当然、オリジナル盤など高嶺の花です。

 問題肝心の収録内容についてなのですが、これはもう目眩を起こしそうになる、鬼のような「This Charming Man」7連打です。こんな商品を売る方も売る方ですが、買う方も何をいわんやといったところです。

 初っ端のM1「This Charming Man(Manchester)」は、所謂一般的に耳にするヴァージョンです。
 翻ってM7「This Charming Man(Original Single Version)」は一説によるとこのM1「This Charming Man(Manchester)」とまったく同じものであるとされています。実際に聞き比べてみましても、確かにその差を見出すことが出来そうにありません。

 M2「This Charming Man(London)」は、主にベース・ギターの音を引っ込めたうえで元々刺々しいギター音も薄く加工した結果、靄のかかったような中途半端さばかりが目立ちます。

 また、何とも微妙な仕上がりとしか言いようのないM3「This Charming Man(New York)」と対を成すM4「This Charming Man(New York instrumental)」の方は1980年代に散見することが出来た無駄に尺が長い典型のようなものです。

 1983年9月21日録音のJohn Peel SessionからのM5「This Charming Man(Peel session)」では温かみさえ感じさせるグループの丁寧な演奏が何とも印象的です。重ねられた2本のギターが細やかに刻まれ、良く粘るベース・ラインと抑えめの歌とが鋭角的な感触の公式ヴァージョンとは対照的でありまして、大変新鮮です。
 これは彼らの通算2枚目のアルバム『Hatful Of Hollow』(1984)にも収録されています。

 M2「This Charming Man(London)」とはまた違った感覚で角が丸められたようなM6「This Charming Man(Single Remix)」は歌声が前面に出された、まさにラジオ放送向けの仕上がりです。

 いずれにせよ、ヴァージョン違いおよびミックス違いとは言え、同じ楽曲だけが7つも収録されているとなるとさしずめ体罰荒行の如き1枚なのか、もしくは猛々しい剣山のような踏み絵なのかも知れません。




 “Part 1”のCDには下記の4曲が収録されています。
 M1「This Charming Man(Manchester)」
 M2「Jeane」
 M3「Wonderful Woman」
 M4「Accept Yourself」
by chitlin | 2006-09-13 01:09 | Pop/Rock