J.K. & Co. / Suddenly One Summer (1968)
2006年 12月 05日
White Whale Recordsから発売されたアメリカ西海岸産のサイケデリックの希少盤として知られているようです。
まさにこのアルバム作品の序曲に相応しいたった30秒余りのM1「Break Of Dawn」で幕を開ける訳です。
続くM2「Fly」がどうしても「Strawberry Fields Forever」The Beatlesを想起させる好曲です。厳かな幽玄の美を連想させます。
以降、一気に彼岸へと連れ出されるような思いです。
オルガンが効果的に使われているM7「Nobody」が個人的には白眉と言えます。
終始、想像以上にサイケデリック色の強烈な音像を投げつけて来ます。
テープの逆回転や左右へのパンは当たり前、混沌とした中にも様々な仕掛けが施されていますし凡百のグループならばそんな工夫も空回りで終わってしまうようなものですが、これら的確な編曲は見事な仕業です。
それ以上に収録曲がこぞってポップな仕上がりのため、実に練り込まれた演奏が相乗効果を誘発しています。
当時15歳だというJay Kayeによる歌にも驚くべき深みがありまして、奇天烈なバックトラックとの相性の良さは抜群です。
一体全体どのような人生を送って来たのだろうと大いに考えさせるほどに大人びています。
各曲の表題からも窺える通り、ある生い立ちの記を著した一大コンセプト・アルバムとして成立しているのですが、全12曲で30分余りというところも気に入っています。