Captain America / Captain America E.P. (1991)
2006年 12月 28日
数年前に運良く12インチ盤に巡り会ったので、苦手な中古盤を迷わず救出いたしました。
The Vaselinesを解散させたEugene Kellyがしばらく無職でぶらぶらしているところをBMX BanditsのDouglas T. Stewartに半ば拾われたという話があります。
BMX Banditsの『Star Wars』(1991)の録音に参加し、そのままグループの一員として来日公演まで果たしたこともありました。
前後して、The Vaselinesの音楽に心酔していたNirvanaのKurt Cobainが彼らのスコットランド・ツアーの前座にと指名したことによってEugene KellyがThe Vaselinesを再結成させるなど、活動再開の機運が高まったのでしょう。
べーシストにはThe Vaselines時代のJames Seenanを引っ張り出して来るなど急造ぶりが丸見えですが、Captain Americaを名乗ってPaperhouse Recordsからデビューした訳です。
きっちり4曲も収録していることからもEugene Kellyの才能が錆付いていないことが判ります。
飄々とした佇まいはThe Vaselines時代と変わらずそのままに、掻き鳴らされる音は骨太になり喧しい塩梅です。
訳あってEugeniusへと改名後のデビュー・アルバム『Oomalama』(1992)にも収録されるのがM2「Bed-in」です。ゆったりとそして何気なく展開するごく普通のギターポップなのですが、この普通さをこともなげに醸し出すことが出来るのが彼の強みでしょう。
隠し味やもう一捻りが必要ないほど真っ直ぐでありのままのポップな感覚が弾けています。
M1「Wow!」、M3「Wannabee」に限らないのですが、おしなべてNirvanaを始め当時のシアトル勢からの影響を彷彿とさせるギターの音色の歪みや厚みなどは当然のことなのかも知れません。
兄弟グループのSuperstarと比較してみますとリズム隊を含めて大味な作りですけれども。
M4「God Bless Les Paul」については1993年4月、やはりSuperstarとの双頭来日公演において初めて耳にした際の荒々しさが印象に残っています。
思えばこの1990年代初頭はバブル経済崩壊間もない時期でもあるのに、自分自身が学生という中途半端なモラトリアムの立ち位置であることが手伝って何だか居心地の悪い甘酸っぱさを殊更に感じていたのかも知れないのだなと感慨に耽ってみる訳です。