Hey Ho Let's Go!


by chitlin

Pharoah Sanders / Thembi (1971)

 あのPharoah Sandersということで聴く前から萎縮してしまっていたのですが、いざ再生してみますと自然と耳にそして身体に馴染んで来る『Thembi』(1971)をご紹介しましょう。

e0038994_0164897.jpg

 まずはM1「Astral Traveling」の浮遊感と来たら、諺とは無関係に文字通り足をすくわれて宙に放り出されるかのような感覚を覚えます。
 鈴の音や鳥のさえずりも添えられ、これがまた堪らなく心地良いものなのです。

 前後見境のない混沌としたフリージャズのM2「Red, Black And Green」とは飽くまでも対照的なのが、躍動感を強調させたベース・ラインに導かれヴァイオリンの調べも優雅に滑り出す表題曲M3「Thembi」です。

 ことのほか美しい出だしを持つM5「Morning Prayer」での奔放な嘶きも勿論、色とりどりの細やかな音の粒子が思いおもいに溶け合う様子に平伏するばかりです。
 上手く申し上げられませんが、有機的に奏でられる音楽の素晴らしさならではです。

 間髪入れずに自然な流れでM6「Baliophone Dance」に連なる野性的なパーカッション類との相乗効果なのでしょうか、太古の祝祭をすかさず連想させるような楽曲です。
 また、しっかりと肉体性を獲得した強靭な音の波に襲われるようで覚醒効果も倍増です。

 前述のM2「Red Black And Green」やベーシストのCecil McBee作のM4「Love」という存在があるからこそほかの収録曲がより一層引き立つというものです。

 漲る生命力の確かさを肌で感じさせてくれるのと同時に観念的な思いに駆られる1枚です。
[PR]
by chitlin | 2007-01-06 00:19 | Jazz