The Doors / The Doors (1967)
2007年 03月 16日
聴けば思わず漆黒の闇を連想してしまう『The Doors』(1967)を採り上げてみます。
今から40年前に発売されたのですから、当時の新生児が今では働き盛りの四十路という訳です。(←当たり前です)
多くのロック少年の例に漏れず、とっつき易いワーナー・ミュージック・ジャパンの“Forever Young”シリーズを通して本作のCDを選んだことも大きなきっかけでした。
『The Velvet Underground & Nico』(1967)を初めて聴いた時期と同じ17歳か18歳の頃でした。ロック名盤カタログの類に流されてしまったのもむべなるかなといったところです。
そんなことも尾を引いておりまして、M1「Break On Through (To The Other Side)」については未だに編集済みのものの方が馴染みが良いのです。
さて、オルガンの音が渦巻く辺りがサイケデリック・ロックとして認識される所以なのでしょうか。
それは確かに他に類を見ない音世界ではありますけれど、M6「Light My Fire」をFEN(現AFN)で初めて聞いた瞬間から、自分の中ではサイケデリックな側面から離れたところにあるThe Doorsという確固とした大きな存在が胸の奥まで根を張っています。
変幻自在の音色を繰り出すオルガンはベース・ギターの役割まで担うという大車輪の活躍です。ギタリストはフラメンコ経由にして繊細なフレーズをも弾き出し、対応能力の高いドラマーはジャジーな鉢捌きもこなすということからもロック・バンドとして非常に個性豊かです。
Jim Morrison抜きでも相当な存在感を放っています。
それでもJim Morrisonの深遠な歌声に一瞬にして魅せられては、まるで底なし沼に引き摺り込まれてしまいます。
歌詞の表現から窺える難解さの一方で獣のように吼えたり大見栄を切ったりと演劇性を持ち合わせているという、言わば文学青年としての一面と超人的な野生児の一面を合わせ持つロック・シンガーならば途端に憧憬の対象と化すのも自然なことなのではないでしょうか。
本作の収録曲はいずれもレコード・デビュー前よりライヴの場で充分に練られたということから、極めて完成度の高いアルバムに仕上げられています。
たとえ、本作1枚で以て消え去ってしまっても永遠に胸に刻まれることは確実です。
大袈裟がそれを通り越すと真実味を帯びて来る一例、なのかも知れません。