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by chitlin
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BMX Bandits / Totally Groovy Live Experience (1989)

 BMX Banditsのライヴ盤、『Totally Groovy Live Experience』(1989)の登場です。
 1989年1月4日、ランカシャー州はベルシルでのライヴ音源です。ってことはまさに彼らの地元でのステージの模様なんですね。

BMX Bandits / Totally Groovy Live Experience (1989)_e0038994_22142433.jpg

 ライヴ音源としてはデビュー・シングルの12インチ盤のB面に続くものですけれど、それら初期シングル曲を聴いたのは随分と後になってからですので、本盤を通して下積み時代のBMX Banditsの魅力を堪能したことは確かです。
 演奏自体も見違えるくらいにまとまっています。

 また、彼らの最初のアルバム『C86』(1990)よりも先に発売されてしまったようですので、本人たちに許可を取っていないというのは本当なのかも知れません。
 ジャケット・デザインにしても決して褒められたものではありませんし。

 そんな事情をよそに、元気なお年寄りの集う演芸場のような雰囲気を醸し出すおもしろライヴ、というのはやはりDuglas T. Stewartの資質に拠るところなんでしょうね。
 そうかと言って彼のひとり舞台とはならずに会場との一体感は抜群のようですし。後にテレビ番組の司会を務めることになるのにも納得のステージングが目に浮かぶかのようですよ。

 そんな絶好調のライヴは彼らの最初のアルバム『C86』に収録されているM1「Whirlpool」によって始められます。
 それにしても、Duglas T. StewartのMCは聞いていて楽しいですね。歌が下手なのはともかく、演者としては名人芸の域に達していますよ。

 続くM2「Girl At The Bus Stop」はTelevision PersonalitiesのDan Treacy作ですけれども、見事にBMX Banditsの持ち歌と化しています。
 バス停で見かける女の子に恋をするという淡くて青臭い内容と思しきこの楽曲はとても他人事とは思えないものがありますです。

 毎朝、同じ電車の車両に乗り合わせる女性に想いを寄せる私、chitlinの心境にぴったりではありませんか。
 くーっ!朝っぱらからもどかしさで胸を詰まらせております。(←って、端から見れば気色悪いことこのうえない)

 M3「Your Class」はライブでの定番曲にしてBMX Banditsと言えば未だにこの楽曲を連想してしまうほどの代表曲です。
 最悪、その場にべーシストすら居なくとも手拍子だけで成立するでしょうから観客を上手く巻き込むことの出来るまさにライヴ向きと呼べるものなんですよ。
 いつ聴いても心が安らぎますね。実に良い歌です。

 アコースティック・ギターとヴァイオリンのみに導かれるM6「Bongo Brains」は情緒感が溢れる大変に美しい1曲なのですけれど、本盤でしか聞くことが出来ないのです。
 知る限り、スタジオ録音さえ存在しないのが非常に惜しいですね。

 M7「Disco Girl」もまた初期を代表する1曲です。
 当然、『C86』収録版の方が完成されている訳ですけれど、こちらのライヴ・テイクも何ら遜色ございません。

 M9「Like A Hurricane」は勿論、Neil Youngをカヴァーしたものです。
 若干の生真面目な一面を覗かせる演奏ですねと言いつつ未だ原曲を聞いたことがないのはここだけの話ですけれども、それだけにこのへなちょこ具合が身に染みます。
 それにしてもNeil Young人気の高さが窺えますね。

 最後のM10「Nazi Punks Fuck Off!」はアメリカのパンク・バンド、Dead Kennedysのカヴァー曲です。
 珍しくそれなりにズタボロで荒っぽい演奏と歌ではありますけれども、そこはやはりBMX Bandits、いやグラスゴーの万年若大将のDouglas T. Stewartです。
 何とまあ、これまた万年アイドル歌手であるKylie Minogueのデビュー・ヒット曲、「I Should Be So Lucky」を強引に捩じ込みまして飄々と歌い上げております。
 これは一体どういう発想なのでしょう、何度聴いても衝撃的です。

 このライヴ録音時のBMX Banditsの面々に関するクレジットがないのですけれど、2枚目のシングル曲でもあるM8「The Day Before Tomorrow」の途中でトチったギタリストに対してDouglas T. Stewartが声を掛けていることから、既にこの頃からGordon KeenがBMX Banditsに参加していることが判りますね。
 きっとべーシストはJoe McAlinden(ヴァイオリンも)でドラマーはFrancis Macdonaldでしょうし、もしかしたらNorman Blakeもその場に居たかも知れないなんて妄想も広がります。
by chitlin | 2007-06-07 22:15 | Pop/Rock