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by chitlin
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Turid / I Retur (2003)

 本日はスウェーデンの歌姫、Turidをご紹介いたします。
 かの地では有名なシンガー・ソングライターとのことですけれども、この『I Retur』(2003)で以て初めて知ることとなりました。 

Turid / I Retur (2003)_e0038994_862867.jpg

 本盤は1971年のデビュー・アルバム『Vittras Visor』と2作目の『Bilder』(1973)、3作目の『Tredje Dagen』(1975)から数曲ずつ纏められたアンソロジー盤です。

 スウェーデンのJoni Mitchellなどと形容されているようですけれど、自作のスウェーデン語でも歌われる歌詞のためでしょうか妖気漂う独特のフォークにぐいぐいと引き込まれてしまいますよ。

 ほかにもVashti BunyanやLinda Perhacs(未聴です)、 Karen Dalton(未聴です)などといったその手合いの女性シンガーが引き合いに出されているようですし、確かに浮世離れしていると言えるとしましても、焦点の定まらぬ視線を投げ掛けるような危なっかしいものではなく極めて想像力を掻き立てられる幽玄の美が際立っています。

 そこではブリティッシュ・フォーク風味とアシッド感覚とを合わせ持ったTuridにたちまち幻惑されるほか術がありません。

 中でもM7「På Tredja Dagen Uppståndna」などはアシッド感覚が顕著な1曲でしょう。
 次いでM8「Stjärnor och Änglar」では秀逸な歌唱力もさることながら煌めくギター音が炸裂(!)、一気に夢見心地へと堕ちて行ってしまいますよ。

 妖しさ一辺倒というばかりでなく、M12「Sometimes I think age is a treasure」では儚げなメロディー・ラインが溶け出す陽だまりフォークに目眩すら覚えてしまいます。

 簡素な演奏のM19「Crystal Shade Of Loneliness」なども素晴らしいのですけれど、小鳥のさえずりのみを背景に歌われる小曲の15「Shri Ram」には見事に心が洗われる思いです。
by chitlin | 2007-06-09 08:09 | Pop/Rock