Robert / Princesse De Rien (2007)
2007年 07月 01日
手持ちのCDはどうやら2度目の新装盤でして、曲目や曲順、編曲さえ改められた再録音盤かリミックス盤(←大違いですけれど)のようです。
季節感を無視いたしまして、その『Princesse De Rien』(2007)をご紹介いたします。
お美しいお顔立ちに似合わず、ジャケット写真通りの妖気漂うか細い囁きが聴く者を捕らえては凍てつかさせます。
怖いもの見たさと言いましょうか。否、思わず退廃的な魔性の吸引力にがんじがらめですね。
無理矢理に置き換えてしまいますと、カヒミ・カリィがCoccoに憑依されたかのような塩梅でしょうか。
厳かな室内楽に電子音を絡めた暗く病的な編曲が幻想的な曲調により一層磨きをかけているのです。
各曲ともにハッとするような冷たい美しさに彩られていることは言うまでもありません。
追加収録曲のM14「Nickel」は、もともとポップで比較的明るいM6「Tout Ce Qu'on Dit De Toi」のイエイエ版のような仕上がりなんです。
まるで往年のフレンチ・ポップのような可愛らしさが余計にアルバム本編との違和感を増長させています。
それ以上にM15「Amanite」とM16「Dynamite」では無機質で凡庸なダンス・ビートが延々と続く有り様でして、この2曲を区別することが出来ません。(←実際、同じ楽曲のような・・・)
このアルバムにとってはやはり蛇足でしかないという印象を持ちました。決して悪い出来ではないのですけれどね。
と言うよりも、彼女の歌ならば何でも来いってな気分です。
既に毒されています。
徹底した美意識が交錯しつつ透明度が大変に高い音世界。
この密やかな雰囲気に一発でヤラれました。
また、本盤はCD-ROM仕様でして、おまけがてんこ盛りでございます。
まずはアルバム本編収録曲すべてのインストゥルメンタル版とRobertに対するインタヴューの模様が収録されています。
そして、嬉しいことに。
1997年にKariana Squareという自主レーベルから発売されたもともとの『Princesse De Rien』版のM2「Colchique Mon Amour」とM6「Tout Ce Qu'on Dit De Toi」、「Triste Et Sale」(M3「Princesse De Rien」と異名同曲)も併せて追加収録されているんです。
こちらを聴いてしまうとその耽美的な編曲と歌声にまたもやたちまち魅せられてしまいまして、もともとの『Princesse De Rien』(1997)を手に入れたくなるものですね。