Hey Ho Let's Go!


by chitlin

カテゴリ:Blues/R&B( 44 )

  紙ジャケットCD化を祝しましてAlice Clarkの『Alice Clark』(1972)を採り上げてみます。
 彼女の唯一のアルバム作品にして溌剌としたヤング・ソウルが眩いばかりです。

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 例によって雰囲気重視と思われるフリー・ソウルの文脈から掘り起こされたという割には、冒頭のM1「I Keep It Hid」からいずれも捨て曲のない聴き応え充分のアルバムです。

 そんな中で殊更にしなやかなファンキーさを発揮しているのがM7「Don't You Care」でしょう。
 炸裂するドラム・ブレイク、煌めくオルガンの音色に熱のこもった歌。
 これがもう最高にファンキーな出来映えなのです。曲良し、歌良し、演奏良しの申し分のなさですね。

 アルバムの終盤においても隙がなく、M9「Hard Hard Promises」、M10「Hey Girl」ともにうねりまくるベース・ラインが全体を引っ張る爽快感。盛り上げ役のホーンにも工夫の跡が存分に見られますしね。

 芯の通った滑らかなAlice Clarkの歌声が自由に泳ぎ回るのですけれど、一風変わったソウル・マナーが特徴です。
 それと言うのも彼女の伸びやかな歌を支えるコーラスの存在が皆無なのです。ジャズ・ヴォーカル寄りの歌唱、所以でしょうか。

 その代わりと言っては何ですけれども一切の無駄を省いた締まりのある演奏が彼女の瑞々しい歌をしっかりと支えるという盤石さです。

 ソウル・ミュージックとして、これほどまでに取りこぼしのないアルバムも珍しいのではないでしょうか。
 楽曲の粒が揃いに揃った隠れ名盤と呼んでも一向に構わないどころか、むしろ胸を張って触れ回りたくなるような1枚ですよ。

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by chitlin | 2007-09-12 23:39 | Blues/R&B
 額の傷跡が武勇伝を物語るLittle Walter。
 本作は『The Best Of Little Walter』(1988)という名に恥じない最高のシカゴ・ブルースが詰め込まれた1枚です。

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 同じChess Recordsに吹き込んだBuddy Guyの『I Was Walking Through The Woods』(1970)やJimmy Rogersの『Chicago Bound』(1970)の紙ジャケットCDと一緒に購入してしまいました。

 Muddy Watersのバンドへは勿論のこと、件の『Chicago Bound』(1970)の録音にも参加しております。さしづめ1950年代前半のロッキン・ブルースといったところでしょうか。

 ブルースの電化に否応なしに対応した結果のアンプリファイド・ハープなのだそうです。そんな増幅されたハープの音色が強烈に唸りまくり、屈強なバンド・サウンドとしのぎを削っています。
 技巧的にも相当な腕前なのでしょうけれど、その表現力の豊かさは文句なしですね。泣かせたり、踊らせたり、彼自身も歌ったりと。

 大ヒット曲のM1「My Babe」については言うに及ばず、7M「Juke」やM9「Off The Wall」なんかでは大いに盛り上がってしまいますね。

 追加収録されたM13「Juke」は別テイクというよりはジャム・セッションのようなものだそうですから、そこはやはり得した気分にもなろうというところです。

 今更ではありますが、これはもうシカゴ・ブルース屈指の1枚なんですね。計らずも、改めて感激してしまいました。
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by chitlin | 2007-07-21 23:51 | Blues/R&B
 今回はJimmy Rogersの代表作、『Chicago Bound』(1970)を採り上げてみます。これまた初めて知ったのですけれど、1950年代半ばのシングル曲の寄せ集めなんですね。
 Chess Recordsの名作の数々がまとめて紙ジャケットCD化されたのを機に購入してみた中の1枚です。

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 典型的なシカゴ・ブルースと呼んでよろしいのでしょうか。実に味わい深い1枚ですね。
 おかしなな言い方をしてしまえば、安心して聞くことの出来るブルース。だからと言って決して凡庸なブルースという訳ではなく、いつ聞いても肩肘張らずにスッとその音に入り込んで行くことの出来るものですね。

 そうです、以前にエントリしたBuddy Guyのブルースと比較してしまえば、エラい違いです。

 強者揃いのMuddy Watersのバンドでリズム・ギタリストを務めていたくらいですからその腕前は勿論なんですけれども、派手さはないものの歌い口を含めてどこか都会的な感覚が見え隠れしています。

 本盤には当のMuddy Watersを始め、ブルース・ハープの第一人者のLittle Walterやら達者な鍵盤捌きが光るOtis Span、シカゴ・ブルースの立役者のWillie Dixonまでがこぞって参加している訳ですよ。こうなると間違いようのない1枚です。

 シカゴ・ブルースひとつを取っても底なし沼のように深いブラック・ミュージックの世界に感銘を受けてしまいました。
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by chitlin | 2007-06-03 10:02 | Blues/R&B
 未だ現役ブルースマン、Buddy Guyの『I Was Walking Through The Woods』(1970)の登場です。初めて知ったのですけれども、これはベスト盤なんですね。

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 こういう代表作ならばいつでも聞けるだろうと今まで完全に放置していましたら、Chess Recordsの名作の数々が紙ジャケットCD化されたので購入してみました。

 M2「Stone Crazy」なんていう表題からどれほど素っ頓狂で禍々しいのかと期待して聞いてみたんです。こう言って何ですけれど、意外にもすんなりと聞くことが出来ました。 

 そうは言いましても、猥雑でやさぐれた風情がたっぷりと真空パックされていますし、歌い回しもギターの音の切れ具合にしてものっぴきならないものがありますね。緊迫感に溢れています。
 また、想像していたのと違ってホーン・セクションをも上手く巻き込むことによって、音の厚みが増しておりますしシカゴ・ブルースの旨味も良い加減ですよ。

 カヴァー曲とは言え、M4「First Time I Met The Blues」なんかが上記のような戯言を集約させた1曲なのではないかと。

 蛇足ということではありませんが、M9「Ten Years Ago 」での熱い歌い口もさることながら盟友、Junior Wellsのハープとの絡みが絶品ですね。

 Jimi Hendrixも憧れたブルースマン、Buddy Guy。まだまだこれから聴き込む必要がありますね。
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by chitlin | 2007-05-12 23:41 | Blues/R&B
 The ImpressionsのABC-Paramount時代の作品群が紙ジャケットCD化されましたので、その中から3枚目の『People Get Ready』(1965)を聴いています。

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 シカゴ・ソウルの先鞭をつけただけでなく、ソウル・コーラスを完成させたということなんですから画期的な作品には違いありません。
 後身のヴォーカル・グループに与えた影響の大きさと言ったらそれはもう計り知れないものがあります。
 Ace Recordsから『Impressed : 24 Group Inspired By The Impressions』(2004)なんてという優れた編集盤まで発売されているくらいですし。

 M2「Emotions」とM6「Can't Work No Longer」については録音の時期が古いそうで、流れを損なってしまっている気もしないではないのですけれども、ほかの収録曲がそれを補って余りある出来映えなんです。
 軽快なダンサーのM11「Get Up And Move」でピシャリと締めるこの快感。

 それはそうと、全12曲がCurtis Mayfieldの手によるオリジナルです。
 The Beatlesの『A Hard Days Night』が1964年発売ですから、いかに当時からCurtis Mayfieldが才気走っていたかということです。
 この時代のR&B界でもまず考えられないことですし。

 その中でも突出していると言えばそれは表題曲のM7「People Get Ready」にほかならない訳ですけれども、歌の内容はゴスペルそのものです。
 凛とした崇高な佇まいには堪らないものがあります。ある種、近付き難いほどです。
 それも当然のことですよね。時期的にも公民権運動の末に生み出されたようなアルバムと言っても良いのでしょうし。やはり、そういった背景を身近に感じられるとはとても言えない訳です。

 R&B界にあって輪をかけて気高さを感じさせるCurtis Mayfieldはシンガー、ギタリストとしての実力は勿論なんですけれど、そんな枠をも飛び越えてアーティスト、クリエイターとしての才能にも溢れる理想の紳士。
 決して荒々しく歌うことのない滑らかな歌い口が聞き手を優しく包んでくれるのは勿論のことですけれど、それと同時に彼の懐の深さ、芯の強さすら感じます。
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by chitlin | 2007-04-21 23:34 | Blues/R&B
 テキサスのGold Star Studioにおいて1947年から1951年の間に録音された生粋のテキサス・ブルース(←そのままですけれど)を集めたオムニバス盤です。
 SP盤の音源集を基にCD化したという触れ込みです。

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 前回のエントリに引きずられまして、古い臭い音を味わってみようというところです。

 8人のブルースマンが入り乱れ、砂塵を巻き起こすようなカントリー・ブルースがぎっしり詰め込まれた全27曲です。

 軸を成すのは10曲も収録されているLil' Son JacksonとLightnin' Hopkinsのそっくりさんと呼ばれるL.C. Williamsでしょう。
 このふたりだけで計18曲も占められていますので、復刻を果たしたArhoolie Recordsとしても当然、彼らの音源を目玉とする意図が透けて見えます。

 あまりありがたくない呼ばれ方をしているL.C. Williamsについて、ここでは何とLightnin' Hopkins自身がピアノで伴奏までしているというではありませんか。
 と思い切り驚いたふりをしてしまいましたが、肝心のLightnin' Hopkinsを聞いたことがないのです。

 そうです、あの“握り拳”で有名な『Mojo Hand』(1960)すら聞いたことがないという体たらくなのです。
 V.J.さんのところの“Blues強化月間”においてLightnin' Hopkinsが採り上げられた際にも当然コメントすることが出来ませんでしたし、お恥ずかしい限りです。

 ただし、ほかにも5曲でLightnin' Hopkinsのピアノ伴奏というクレジットが入っているのですけれども、全部が全部にピアノが入っている訳ではありません。これは単純にエレクトリック・ギターの間違いでしょう。
 恐らくはLightnin' Hopkinsによるギターのうねりまくる音色が縦横無尽に飛び交っています。

 注目のLil' Son Jacksonについては、無骨なギター捌きに乾いた歌声がゆったりとたなびくだけの簡素極まりないブルースの数々が胸に染み入ります。
 知りもしないかの地の雰囲気に酔いそうになる懐の広さといい、実に深い味わいの演奏です。

 3曲が収録されていますピアニスト、Thunder Smithにまつわる話で面白いものがあります。
 これらの録音より以前、彼と件のLightnin' Hopkinsが組んで演奏活動していたことから、Thunderに因んでLightnin'と呼ばれるようになったということらしいです。

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by chitlin | 2007-03-26 23:52 | Blues/R&B
 サザン・ソウルの重鎮というよりもサザン・ソウルそのものを体現する孤高のシンガー、O.V. WrightがHi Recordsから放った1枚目がこの『Into Something Can't Shake Loose』(1977)です。 

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 1977年発売ということで新しめの音を苦手とする身には厳しいのではと思ったのも束の間、深みのある歌心が溢れるのと同時に泥臭いサザン・ソウルの香りが立ち籠める素晴らしい作品です。

 表題曲のM1「Into Something (Can't Shake Loose)」については、時節柄でしょうかモダンな曲調を難なく歌い切ったファンキーな1曲です。
 鮮やかなまでの切れの良さがアルバムの冒頭にぴたりとはまります。

 M3「Precious, Precious」とM6「Trying To Live My Life」の2曲はソウル・ファンの心の故郷、Otis Clayの名唱で知られるものです。
 どちらもO.V. Wright流に料理され、これ以上にないほどの絶品に仕上げられています。

 カヴァー曲以外にも勿論聞きどころはありまして、M4「The Time We Have」でのじっくりコトコト煮込んで行くような様子などには堪らないものがあります。

 アルバムの最後には圧巻のメドレーが待ち構えております。咽び泣くようなバラードというよりも聴いているこちらが泣けて来るM7「Medley」の内訳がこれまた怒濤の3連発なのです。

 「God Blessed Our Love」Al Greenに「When A Man Loves A Woman」Percy Sledgeと来て、Otis ReddingやThe Rolling Stonesも歌った「That's How Strong My Love Is」には心底参ってしまいます。
 もともとは1964年に吹き込んだという「That's How Strong My Love Is」を本家本元であるO.V. Wright 自身が激唱するとなれば、やはり涙なくしては聞けません。

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by chitlin | 2007-03-10 23:51 | Blues/R&B
 『Psychodelic Sounds』(1971)などという仰々しい表題とは裏腹にたどたどしい演奏を繰り広げるのがオクラホマの兄妹グループ、Jr. And His Soulettesです。
 ジャケット写真の通り、幼い少年少女が嬉々として自作自演する体当たりな1枚です。

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 手持ちのCDにはブックレットがない代わりに裏ジャケットにこのグループの略歴が掲載されています。
 長男のHarold Moor, Jr君はギターと歌を担当する1961年生まれの10歳でして、曲作りもやってのける快活な男の子です。
 以下、オルガン2台とドラムス担当の妹たちが9歳、7歳、6歳と家庭の事情も見え隠れする惑星直列並みの編成ではあります。

 全17曲中、M2「Momma, Love Tequilla」とM5「Love From Above」、M9「Sweet Little One」にM12「Rock 'n Roll Santa 」やM14「Pop Junior Pop」以外は歌が入らないことも手伝いまして何度聴いても収録曲がどれもこれも同じようにしか聞こえません。

 Harold君謹製の楽曲群はどうも曲調やコード進行などが似通っていますし手癖のフレイジングでも何でもワウ・ペダルを踏みっ放しということもあるのですけれど、それ以上にドラマーのJacqueln Carolちゃんが懸命に入れるおかずが変わりばえしないためでしょう。ここぞとばかりに決めるフィルインが永久に同じなのです。
 言わばRamonesも真っ青の金太郎飴状態です。

 それはともかく、粘り気のあるワウワウ・オルガンもなかなか個性的なために奇天烈なファンキー度が更に倍増するといった塩梅です。
 一歩間違えると巷に溢れるグルーヴ感を売り物にしたサウンド・トラック盤に紛れ込んでいましても何ら違和感のないノリを計らずも獲得している訳です。

 彼らのそんな拙い演奏はR&Bからは逸脱しているのかも知れませんが、何と言っても微笑ましい限りです。
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by chitlin | 2007-02-13 00:13 | Blues/R&B
 これぞディープ・ソウルという滋味溢れる歌の数々を聞かせてくれるWillie Hightower。名前負けするどころか逆に堂々とそそり立つ貫禄のソウル・シンガーです。
 その内容も濃厚な編集盤CDを採り上げてみます。

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 Candi StatonがFame Recordsに録音した音源が正規にCD化されまして話題を呼んだことがありました。
 続いてWillie HightowerのCapitol RecordsとFame Records時代の音源をCD化したのが同じHonest Jons Recordsです。ただし、安価で入手が容易な盤はCCCDですので注意が必要です。

 その歌唱にSam Cookeからの影響が認められることは衆目の一致するところではありますが、滑らかさや艶やかさというのではなく、より泥臭さが滲み出た格好です。

 横揺れのM1「Walk A Mile In My Shoe」からしてこくのある歌い口。酸いも甘いも噛み分けた深みのある歌心が身に染みます。

 Fame Records音源の俗に言うマッスルショールズ・サウンドにしても、何とまあ豊穣なものなのでしょう。力強く厚みのあるバックトラックが頼もしい限りです。

 そして、充実の本盤を締めくくるのがM18「For Sentimental Reason / You Send Me」でして、Sam Cookeゆかりのメドレーに止めを刺します。
 愛情に満ちたこの名カヴァーを聴けば聴くほどに涙腺が緩みます。
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by chitlin | 2007-01-25 23:29 | Blues/R&B
 The Rolling Stonesがカヴァーした「You Got To Move(You Gotta Move)」の作者ということでその名を知らしめた“Mississippi” Fred McDowellの貴重な初録音をまとめた『The First Recordings』(1997)を採り上げてみます。

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 現地録音を目的にした“The Alan Lomax Collection”において、ひとりのミュージシャンに焦点を当てた“The Portrait Series”の1枚という訳です。
 その筋の大家、Alan LomaxがFred McDowellを発見したことで戦前から歌い紡いで来たであろうブルースが14曲、1959年に録音されたという具合です。

 同じRounder Recordsからジャケット写真の彼自身の面構えが最高の『Mississippi Fred McDowell』という表題のCDも発売されていますが、そちらは1962年録音ということらしいです。

 周囲の物音などが紛れ込んだりと当然のことながら剥き身の非常に生々しい録音がいちばんの特徴であります。

 独特の弦捌きにスライド・ギターの響き。どす黒いミシシッピ・デルタ・ブルースの真髄を嫌と言うほど味合わせてくれます。楽曲によってはMiles Pratcherというギタリストが伴奏したり、奥方のAnnie Mae McDowellが歌うなどの減り張りを利かせています。

 普段は労働に従事させられ、酒場で憂さを晴らすといった日常の中でミュージシャンともただの労働者とも区別のつかない者たちが沢山居たのでしょうか。
 彼のような存在こそがブルースマンだったはずです。Alan Lomaxに発見されたことも必然だったのかも知れません。

 喜怒哀楽が目一杯に詰め込まれた市井のブルースに触れられることに感謝です。
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by chitlin | 2007-01-09 00:17 | Blues/R&B