Hey Ho Let's Go!


by chitlin

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 紙ジャケット仕様、初回5,000枚限定生産に釣られてしまった、だけではありません。

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Andwellaと改名してから2作目にあたる『People's People』(1971)が、イギリス盤のジャケット・デザインにして待望の公式CD化とのことです。

 初めて聴いた訳ですが、一聴してアメリカ南部の音楽への憧憬が手に取るように伝わって来きます。カナダ人メンバー4人にアメリカ人ひとりという編成のThe Bandと同様に所謂、イギリス人としてその胸の内に思い描いたアメリカ像というものを彼らなりに咲き匂わせています。

 想像以上に雄大な景色を想起させるのですが、端々に滋味が満ち溢れ出て温かみを感じさせる作品です。特に中心人物のDavid Lewisの歌声というのが何とも言い難くまろやかな塩梅です。

 押し出しの強いM1「She Taught Me To Love」と表題曲M9「People's People」ではDris Troyほかの効果的なバック・ヴォーカルがゴスペル風味を倍増させています。
 弾き語りでしっとりと聞かせるM3「The World Of Angelique」やM8「Lazy Days」からは全曲の詞曲を手掛けたDavid Lewisの力量がいかんなく発揮されています。

 不肖にして出自がまったく判らないのですが、本CDにはジャケット裏面に記載されていないM10「スクリーンの影に」という楽曲が収録されています。
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by chitlin | 2006-04-29 22:22 | Pop/Rock
 不世出の無差別級女性ソウル・シンガー、Ruby Johnsonが1962年から1967年にかけて吹き込んだ全20曲です。
 『 I'll Run Your Heart Away』(1993)を聴いてみましょう。

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 Stax Records傘下のVolt Recordsに残した3枚分のシングル曲以外の14曲が未発表という事実に思わず溜め息を漏らしてしまいます。

 常に市場を意識し、時期を逸してしまったが故の良質な未発表音源が掃いて捨てるほどに存在するらしいMotown Recordsならいざ知らず。南部ローカルとは言え、あのソウル・シティ、メンフィスのお膝元に25年以上も漬け込まれていたとは、甚大なる損失だった断言出来ます。

 M3「Won't Be Long」のこ洒落た編曲に思わず胸を弾まさせる以外は、ブルースのM12「Need Your Love So Bad」、シングル曲のM19「When My Love Comes Down」を筆頭にじっくりと聞かせる重厚な内容に只ただ平伏すばかりです。

 迫力のM13「Come To Me My Darling」(別テイク)と徐々に馬力がかかるM14「Left Over Love」を迎え、背筋も伸びるM15「I'd Better Check On Myself」からM16「I'd Rather Fight Than Switch」という後半の流れに限らず、どれもこれも没にされた理由を到底理解することが出来ないほどです。

 重心が低く、若干塩辛い彼女の歌が胸に染み入ります。そのうえ、バックを務めるのはIsaac Hayes(p, org)が替わりに入ったThe MG'sとThe Mar-Kay Hornsという万全の布陣です。

 ソウル・ミュージックの世界には彼女のように半端ではない実力を持ちながらもアルバム制作はおろか、日の当たる道を歩めないでいたシンガーが沢山居るのでしょう。
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by chitlin | 2006-04-28 00:44
 昨年、35年振りに新作を発売したというVashti Bunyanです。

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 伝説のシンガーと化した彼女が残したこの『Just Another Diamond Days』(1970)は、2000年にCD化されるまで30年も密かに語り継がれて来たという文字通りの秘宝です。

 動物に囲まれた場面が心を和ませる、見開き紙ジャケット仕様に相応しい彼女のこの1作目を先頃発売された日本盤CDで聴いてみました。

 消え入りそうな彼女のか細い歌声を耳にして先ず驚いてしまいました。時間やブリティッシュ・フォーク/トラッド云々を超えて、世の中にこのような混じりっけのない音楽が存在することに我が耳を疑いました。 

 淡々と綴られる最小限の伴奏が彼女の透明度の高い打ち震える声に寄り添い、ぎりぎりの所で柔らかく均衡を保っています。

 彼女自身はこの作品について、個人的な内容だから売れると思わなかったと懐述しています。

 それはさておき、これはもう彼女の手を離れて永久により多くの人々の胸に刻まれることになります。手を伸ばせば、すぐそこにある訳ですから。
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by chitlin | 2006-04-26 01:34 | Pop/Rock
 “地上から見上げた宇宙”をテーマにした「全天候型アコースティック・デイリー・アルバム」という福間未紗の2作目、『君の友達』(1997)です。

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 切なさ全開のM5「春の光」やM8「窓アカリ」で聞ける通りに、基本はギター弾き語りのシンガー・ソングライター作品ですが、ウッドベースやアコーディオン、ピアニカなどの生楽器と共にエレクトロニクスの導入が奏功した1枚です。

 その音作りの面では実弟でありエレクトロニクス担当の福間創に加え、彼女と共同で制作と編曲を手掛けた鍵盤担当の斉藤哲也が鍵を握ります。

 M1「Switch」のコラージュされたノイズが一閃、バンド・サウンドのM2「緑の質」で何とも清々しい景色が目前に広がります。

 M4「風車」はあのVashti Bunyanの「Diamond Days」に自作の詞をつけた曲です。当時としては、そのことが何を意味することなのかまったく判っていませんでした。
 ちなみにM6「Ipanema - Waltz」も同様に丸ごとAntonio Carlos Jobinの「イパネマの娘」からの引用です。

 この1曲と言えばウクレレとアコーディオンが柔らかく頬を撫でるM9「クロアゲハ」でしょう。珍しく優しい気持ちにさせられます。

 とは言え、“藍色の夜”に胸を締め付けられるM10「夏の星座」からが山場です。
 宇宙の彼方へ放たれたモールス信号のM11「Friend Of Yours」を挟み、アンデス地方の伝承歌を下敷きにしたM12「ねじ」で“果たせぬ想いを解き放つ”訳です。

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by chitlin | 2006-04-25 00:56 | J-Pop
 1990年代のレア・グルーヴ発掘作業の煽りを受けて、日本が世界に誇るP-Vine RecordsによりCD化された本作『Ritual』(1971)には、アフロ・キューバンを基軸にした何とも妖しげな雰囲気が目一杯に漂います。

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 Nico Gomezの出自はヨーロピアン・ジャズなのですが、サイケデリックなファンク・ラテンが暴発する禍々しい1枚です。

 初っ端から自然と身体が動き出す熱いラテンM1「Caballo Negro」は不気味なベースラインに導かれ、強烈にうごめくオルガンの音色に景気の良いホーンが被さる始末です。
 これまた灼熱のM3「Cuba Libre」では切れの良いホーンが沸点を迎え、嫌が応にも乗せられます。

 打って変わってAntonio Carlos JobinのカヴァーM4「Samba De Una Nota So」の落ち着いた雰囲気で火照った身体を冷やしつつ、しばしオルガンの音色に酔いしれます。

 M5「Baila Chibiquiban」の妖艶なラテン・ロックで再び血潮が高揚したのも束の間、今度はあの「コンドルは飛んでゆく」のM6で涙に暮れていると空かさずPerez PradoのカヴァーM7「Lupita」やM8「Pa! Pa! Pa! Pa!」で寝た子を起こされるといった具合に、緩急自在にして絶妙なドラム・ブレイクとパーカッションの雨あられ。踊っては聞かせる絶妙の構成が冴えまくります。

 この中盤の流れに乗って朝から気分も最高潮を迎える訳ですが、興味深いことに全編を通してファズ・ギターも唸りをあげているのが肝なのかも知れません。なるほど、サイケデリックたる所以です。
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by chitlin | 2006-04-22 09:24 | Brazil/Latin
 先日、採り上げたGrapeの2作目に当たります。
 『Maths & Passion E.P.』(1992)を聴いてみます。

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 本作は、果たして『Baby In A Plastic Bag』よりも素直なギターポップに傾斜しています。同時に、緻密さが立ち上る折り目正しいブリティッシュ・ポップの嫡流と言えます。

 M1「Back Again」は針音を含めてアナログ盤を再生する場面から始まります。一節歌って、古ぼけたアコースティック・ギターのストロークからバンド・サウンドへと移り変わる仕掛けも楽しいものです。

 女性ヴォーカルが絡むM3「Playground」も合わせて、Mark Barberの歌い手としての力量が存分に発揮される全4曲です。 表情豊かでいて、尚かつ細やかな表現力が見事です。

 1990年代後半のBrit Popの隆盛を知らないままでいるのですが、それでも彼のような歌い手にはなかなかお目にかかれないほどです。

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by chitlin | 2006-04-20 22:48 | Pop/Rock
 先日採り上げたThe Chesterf!eldsのメンバーだったMark Barberが結成したGrapeのデビュー・シングルです。

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 両面曲ともにリズム面において工夫が凝らされています。

 A面「Baby In A Plastic Bag」ではカリブの香りが漂います。 
 また、デビュー当時のPJ Harveyがバック・ヴォーカルとしてクレジットされていますが、実際にはサビの部分でリードを取ります。

 B面「Listen To Your Heart」のひら歌の部分がジプシー音楽風に展開され、異国情緒を匂わせます。

 こうした異種交配もブリティッシュ・ポップ/ロックのお家芸と言えますから、決して不自然なことではないのでしょう。

 それでいて構成もしっかりと組み立てられており、現在においても純粋にポップ・ソングとして確固とした輝きを放っています。
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by chitlin | 2006-04-19 22:35 | Pop/Rock
 ジャケット・デザインが素敵ですので採り上げてみました。

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 The Chesterf!eldsの3枚目のシングルにして、パパパ・コーラスも映える定番曲です。

 いかにもブリティッシュ・ポップ然とした曲調と詩の内容ですから、未だに根強い人気を誇ることに納得してしまいます。
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by chitlin | 2006-04-18 23:45 | Pop/Rock
 Sonny Clark(p)がより堅実な演奏を繰り広げる、Blue Note Records初のステレオ録音だというハードバップ作品です。
 では、『Sonny's Crib』(1957)を聴いてみましょう。

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 1957年7月録音の初リーダー作『Dial S For Sonny』の頃よりもSonny Clarkにはふたつの自作曲も含めて格段の成長の跡が見られます。
 脇を固める演者も以下の通り豪華で、演奏自体も非常に冴え渡ったものです。
 Donald Byrd(tp)、John Coltrane(ts)、Curtis Fuller(tb)、Paul Chambers(b)、Art Taylor(dr)。

 M1「With A Song In My Heart」では小気味よいリズムが疾走感を生み出し、幕開けに相応しい1曲です。
 M2「Speak Low」と同様にラテンのリズムが面白く、トランペットがいななくM5「News For Lulu」は勿論のこと、M3「Come Rain Or Come Shine」のしっとり感も格別です。

 Sonny ClarkとJohn Coltraneの共演は1957年9月1日録音の本作のみということです。
 言われてみれば、吹き倒してみせるJohn Coltraneにハードバップの枠組みを踏み越えようかという様子も窺えますが、若干浮き上がっている程度の印象です。
 彼がBlue Note Recordsに唯一残したリーダー作でありフロント3管編成の『Blue Train』が1957年9月15日録音ですから、何やら因縁めいています。

 手持ちのCDには3曲の別テイクが追加収録されています。その内の2曲によってステレオ録音の裏側を垣間見ることが出来ます。
 M1「With A Song In My Heart」のピアノ・ソロがM6のそれに、同様にM2「Speak Low」でのトランペットとピアノのソロがM7のそれぞれに差し替えられた訳です。
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by chitlin | 2006-04-16 22:50 | Jazz
 Jane Fonda主演のSFお色気映画『Barbarella』(1968)のサウンドトラック盤です。

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 中学生時代の我がアイドルだったDuran Duranはこの映画の登場人物のDurand Durand博士にちなみグループ名を付けたそうです。
 また、The Monochrome SetのBidとLester Squareの好きな映画作品でもあることを知り、以前から関心を寄せていました。

 偶然にもサマー・オヴ・ラヴに符号するかのような、お気楽な楽曲の数々が並んでいます。特に歌入りのM1「Barbarella」やM6「Love, Love, Love, Drags Me Down」、M22「An Angel Is Love」などは言わばソフト・ロックの風合いです。

“エロ満載のスペース・ファンタジー”という触れ込みだけあって、音盤よりも画を楽しむことの方が得策であると感じていまいました。何しろこちらとしては下心満載ですから。
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by chitlin | 2006-04-15 14:15 | Soundtracks