「ほっ」と。キャンペーン

Hey Ho Let's Go!


by chitlin

<   2006年 05月 ( 20 )   > この月の画像一覧

 「Just One Look」(1963)という楽曲を唯一ヒットさせたことで知られるR&Bシンガー、Doris Troy。そんな彼女がApple Corpsに残した1枚は、George Harrisonの『All Things Must Pass』(1970)絡みの人脈が総動員されたことから注目を集める作品です。

e0038994_025194.jpg

 当然の如く、当時のイギリス人ミュージシャン達の指向性が如実に露になっています。そういった側面から聞かれることが多いのかも知れません。

 ゴスペル仕込みの歌い口を迎え撃つバックトラックの肌触りはスワンプ・ロック風味ですから微妙な取り合わせです。穿った見方をすれば、本場のソウル・ミュージックと比較して云々というよりむしろ独特のブリティッシュ・ソウルとして楽しめるのではないでしょうか。

 そのバックを務める顔触れというのが以下の通りに目も眩むような豪華なものです。

  Eric Clapton (g) 、Peter Frampton(g)、George Harrison (g、vo) 、Stephen Stills (g、vo)、Billy Preston (key、vo)、 Leon Russell(key)、Klaus Voorman (b) 、Ringo Starr (ds)、 Delaney And Bonnie Bramlett (vo)

 Doris Troy自身もさることながら、これらのミュージシャン達が入り乱れて曲書きにも参加していることからも目が離せません。

 また、Billy Prestonによるゴスペル・タッチの鍵盤捌きやM3「Give Me Back My Dynamite」などで聞けるEric Claptonによる閃きのあるギターの音色も耳を惹きます。

 シングル盤のB面に収録されたり未発表だった5曲の追加収録もそのままに紙ジャケット仕様として再発売されたCDです。
[PR]
by chitlin | 2006-05-31 00:29 | Blues/R&B
 この度、Sundazed RecordsによってCD化された編集盤が日本制作特製紙ジャケット仕様にて発売されました。
 Bruce & Terryの『The Best Of Bruce & Terry』(1998)を聴いてみましょう。

e0038994_0504542.jpg

 The Rogues名義を含め、1963年から1966年までにTerry MelcherとBruce Johnstonのふたりが膝を突き合わせて創り上げたシングル曲と未発表曲がまとめられています。
 砂上の楼閣どころか、その充実ぶりを今日でも十分に楽しむことの出来る音源集です。

 典型的なサーフィン/ホットロッド・サウンドの様式に相俟ってそこはかとなく漂う品の良さが特徴です。

そんな中、Nick DeCaro作のM4「Carmen」(1964)やM5「Don't Run Away」(1966)、M12「Thank You Baby」(1965)の麗しさは特筆に値します。Bruce Johnstonの才能がしっかりと開花しています。

 また、ストリングスやハープが被せられたM16「Come Love」(1965)では雄大さをも醸し出しています。 

 Neil YoungやTeenage Fanclubだけでなく多くのミュージシャンがカヴァーしているM17「Four Strong Winds」(1965)でも美しいコーラス・ワークが活かされています。

 本CDは、『POP-sicle presents 60's サーフィン&ホット・ロッド・シリーズ』と銘打たれたシリーズ第一弾の内の1枚です。他にはBruce Johnstonのソロ作品『Surfin' 'Round The World』(1963)、The Rip Chordsの2作品などがあります。

 夏を先取りし、尚かつ第二弾へ続くという訳ですか。
[PR]
by chitlin | 2006-05-29 00:53 | Pop/Rock
 副題に“Shimauta Pops In 60's – 70's”とありますが、何とも不可思議な音楽の標本のようなものが紛れ込んでいます。
 それがこの『琉球レア・グルーヴ』(2003)です。

e0038994_2254086.jpg

 屋良ファミリーズによる冒頭のM1「白浜ブルース」とM2「ゴーゴー・チンボーラー」には面食らってしまいます。驚異の人力ブレイク・ビーツとオルガンの妙味に思わず唖然とするほかありません。

 その他には、大変ハイカラなヴォーカル・グループ、ホップトーンズによるM5「へい二才たー」や珍奇なバックサウンドに三線が絡むM7「リズム谷茶」などが耳新しいところでしょうか。

 それ以外の収録曲では沖縄独特の空気感を満喫することが出来ます。

 断じてボサノヴァではないM14「ボサノバ・ジントーヨー」に続いて軽快なバンジョーが走るM15「東京のバラッド」がどこか物寂しく最後を締めくくります。

 沖縄民謡と舶来ポップスとを掛け合わせた、痛快無比のオキナワン・ポップと言えそうです。

More
[PR]
by chitlin | 2006-05-28 22:56 | J-Pop

Daniel Johnston / Laurie (1992)

 異形の天才、Daniel Johnston。彼の存在自体が奇跡のようなシンガー・ソングライターです。

e0038994_17432749.jpg

 本作はイギリスのSeminal Twangから発売された4曲入り7インチ・シングル、『Laurie』(1992)です。

 M1「Laurie」は『Artistic Vice』(1991)収録曲とは別テイクのものです。どこか本人によるものには聞こえない流暢なトイピアノに胸が躍ります。
 最愛の女性に対するその純粋な感情表現が美しくもあり痛々しくもあります。この辺の表現力がDaniel Johnstonの歌の存在感を強烈に際立たせる要因とも言えるのではないでしょうか。

 M2「The Monster Inside Of Me」はピアノ弾き語りによるものです。自らの心に潜むぬえの存在を包み隠さず開陳しています。
 彼の楽曲には他に「I Killed the Monster」というものが件の『Artistic Vice』に収録されています。“The Monster”という題材が彼にとって重要なのかも知れません。

 M3「Whiz Kid」もまた、実に美しい旋律を持つのですが、そのうえ終盤にかけて炸裂するハミングに思わず感涙。

 同じくピアノ弾き語りのM4「The Lennon Song」は勿論、敬愛するJohn Lennonへ捧げる1曲です。  

 彼が現在でも活動を継続し、他に類を見ない美しい音楽を発信することが出来る立場でいることに勝手ながら驚きを禁じ得ません。

 世の中、捨てたものではありませんね。
[PR]
by chitlin | 2006-05-27 20:15 | Pop/Rock
 ルイジアナ・ブルースの旗手、Slim Harpoの活動をざっくりと俯瞰することが出来る編集盤です。

e0038994_23572510.jpg

 1950年代後半から活躍する彼の楽曲の数々が、ロック・バンドを組み始めたばかりのイギリスの若者たちに大きな影響を与えることとなりました。
 実際にThe KinksとThe Yardbirdsが彼のデビュー曲M2「Got Love If You Want It」を、The Rolling StonesはそのB面曲M3「I'm A King Bee」をそれぞれカヴァーしたほどです。

 緩やかさを通り越し、弛緩し切ったそのひなびた枯れ具合が独特な味わいを醸し出し、1961年にはその路線の極致とも言えるM9「Rainin' In My Heart」をヒットさせています。
 1964年にはM10「Still Rainin' In My Heart」という表題で唐突に再録音までして、さらに回転数を落したかのような緩さ加減を披露しています。

 軽妙な歌い口とハーモニカと共に臭い立つようなスワンプ臭も彼の大きな特徴なのですが、1960年代後半ともなると時代の要請のためか、しこたまファンキーなM6「Tee-Ni-Nee-Ni-Nu」で懐の深さを示しています。
[PR]
by chitlin | 2006-05-26 23:57 | Blues/R&B

デラうま

 この時期に来て、傷んだ懐に追い討ちをかけるがごとく、デラックス・エディションの大波が押し寄せます。


 『Eat A Peach』 The Allman Brothers Band

 『Eric Clapton』 Eric Clapton

 『In Concert』 Donovan

 『All Mod Cons』 The Jam

 『Two Sides Of The Moon』 Keith Moon

 『Ogdens Nut Gone Flake』 The Small Faces

 『Girlfriend』 Matthew Sweet


 その他、『Down By The Jetty』Dr. Feelgoodや『Would You Believe』Billy Nicholls のデラックス・エディションやGram Parsonsの3枚組ベストも控えています。

 これまでもこの手の類いが幾つも発売されて来ましたし、Elvis Costelloの場合なぞは歴代のアルバムが2枚組の拡張版CDとして当たり前のように発売された前例があるにせよ。

 こんな大量放流、善良な一般市民にはどうにもなりませんて!
[PR]
by chitlin | 2006-05-24 00:14 | 雑感

ハートを狙い撃ち (1992)

 本作は幻の名盤解放歌集*クラウン編に当たる『ハートを狙い撃ち』です。

e0038994_0144753.jpg

  “すべての音盤はすべからくターンテーブル上(CDプレーヤー内)で平等に再生表現される権利を有する”

 この宣言通り、この世の果てに打ち捨てられた特異な歌謡曲の亡骸を掬い取るべく活動に勤しむ幻の名盤解放同盟。

 怪しく蠢く業深き歌謡曲の一大絵巻として彼らが丹精込めてまとめ上げた編集盤シリーズを採り上げて行きます。

 祈るようなM1「妻の日の愛のかたみに」における語りの部分では、思わず「Epitaph」King Crimsonと表裏一体であることを錯覚させる奥深さに身震いしてしまいます。

 続く表題曲M2「ハートを狙い撃ち」で早くも血圧が跳ね上がります。世界に轟く悶絶ガレージ「赤く赤くハートが」ザ・レンジャーズに肉迫する無軌道ぶりを発揮する歌い口が眩しい、これぞ和製ガレージの真骨頂といった具合です。
 ペランペランのギター・ソロと胸を焦がしたような掛け声が思いのほかに相乗効果をあげています。

 じっくりと聞かせるM3「こころがわり」は実力派コーラス・グループ、サムソナイツの出戻り直後のムード歌謡です。

 恥も外聞もなく破廉恥なほどに意気揚々なエレキ歌謡のM6「東京・ア・ゴー・ゴー」には嫌が応にも乗せられ、一緒になって合いの手を入れずにはいられません。

 西郷輝彦が密かに野望を歌うのがM9「ローリング・ストーンズは来なかった」です。
 著名ミュージシャン達の名前を引き合いに出し、それらを連呼するどさくさに紛れて大胆な自己肯定を強引に捩じ込んで来ます。前向きと言いましょうか厚かましいと言いましょうかその姿勢がラテンのビートに寸分違わず一致する逞しさを持ち合わせています。
 作詞、作曲、編曲を手掛けたのはあの“夜のワーグナー”の異名を欲しいままにする藤本卓也です。

 M10「夏の夢」とM11「可愛い悪魔」の2曲は『カルトGSコレクション』という括りで中締めの役回りを果たしています。

 特にミッキー・カーチスとザ・サムライズのM10「夏の夢」は驚くほどに夢見心地のラウンジ調です。まどろみ加減ともども完成度が高いグループの自作曲です。

 元の『幻の名盤解放歌集』に戻った途端、家庭崩壊を開陳するという歌い出しで始まり絶望の淵を綱渡りするかのようなM12「マサオ」には暗澹たる気持ちにさせられますが、M14「四国のおばあちゃん」の私信のような佇まいに一安心させられます。

 鳥羽一郎を引っ張り出したM16「俺はやる」ではスケールの大きさが見事に表現され、字余りと字足らずが必然的に交錯する英語詞のM17「Get Tomorrow (三百六十五歩のマーチ)」で大円団を迎えます。

More
[PR]
by chitlin | 2006-05-23 00:26 | J-Pop
 永遠のバー・バンド、NRBQのギタリストを務めたこともあるAl Andersonのソロ・アルバムです。

e0038994_2382262.jpg

 彼の滋味溢れる朴訥な歌い口を引き立てるのは、NRBQ人脈を頼りにした手作り感覚が活かされた簡潔にして抑制の効いた演奏にほかなりません。

 歌の題材としては恋愛や望郷など身近なものを取り扱いつつ、カントリーやR&B、ブルースを咀嚼しながらしなやかで泥臭いという実に豊潤な音世界を創り上げています。
 まさにアメリカン・ロックの良心であると言えましょう。

 彼の恰幅の良い体格に比例してどれもこれもおおらかで穏やかな全10曲でありまして、30分余りでさらりと聞くことが出来ます。

 1997年にVivid Sound Corporationが世界に先駆けて初CD化を果たしたことについては、天晴れと言って差し支えないのではないでしょうか。
[PR]
by chitlin | 2006-05-21 23:14 | Pop/Rock

The Ebonys / The Ebonys (1973)

 泣く子も黙るフィリー・ソウルの至宝、『The Ebonys』です。

e0038994_1159507.jpg

 1993年に日本で世界初CD化が果たされてから10年、Legacy Recordingsから4曲を追加収録したリマスター盤として、また日本では紙ジャケット仕様として再発売されました。

 おなじみのKenneth GambleとLeon Huffによる制作という黄金律が当時、不思議と不発に終わったことから流通量が少なかったために幻の名盤の称号を欲しいままにしたと言われます。

 破綻のないSigma Sound Studios産の流麗なバックトラックはもちろんMFSBという向かうところ敵なしの布陣によって支えられ、女性1人を含むコーラス・ワークの妙味を存分に味わうことが出来ます。
 他のPhiladelphia International Records所属のThe IntrudersやThe Ojays、Harold Melvin & The Blue Notes とは違い、この編成は彼らならではの持ち味と言えますので、発売当時の状況が何とも残念です。

 最後に置かれた1971年のデビュー曲M9「You're The Reason Why」まで抜かりのない秀逸な仕上がりの中、ゆったりとした長尺のM2「It's Forever」が絶品です。
 雷鳴のように力強く炸裂するバリトン・ヴォイスに甘美なファルセットが寄り添う様子に身震いするほどです。

 追加収録曲は件のデビュー・シングルから本作までの間に発売されたシングル曲に当たります。
[PR]
by chitlin | 2006-05-20 11:55 | Blues/R&B
 メジャー2作目『ミーのカー』(1999)に続いて矢継ぎ早に発売された5曲入りのミニ・アルバム、『太陽の白い粉』(1999)です。

e0038994_23581654.jpg

 M1「太陽の白い粉」が意外なほどに静閑であったり、女性ヴォーカルを導入するなど楽曲によってはポップな一面を垣間見せています。
 さらに、収録時間にしても粒揃いの各曲にしてもだれることなくちょうど良いサイズにまとめられており、彼らの懐の深さを端的に示した作品です。

 ブレーキ故障のマシンでインディ500に参戦するような危険度を誇るM3「すべるバー」などの表題に顕著なように詞の世界も独特です。

 ゆらゆら帝国がどういうグループかと言えば、ワシントン条約に引っかかりそうな死に体のロックンロールを正しく再燃させるような稀有な存在です。
 それも猛毒を撒き散らしながら脱兎の如く駆け抜ける姿が投影された何とも有害かつ痛快なマッド・サイケデリック・ロックンロールです。
[PR]
by chitlin | 2006-05-19 23:49 | J-Pop