Hey Ho Let's Go!


by chitlin

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The Vaselines / Dum-Dum (1989)

 The Vaselinesが53rd & 3rd Recordsに遺した唯一のアルバム作品です。中味そのものは『All The Stuff And More...』(1992)とSub Pop Recordsからの『The Way of the Vaselines』(1992)という2種類の編集盤に丸ごと収録されてはいますけれども。

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 Eugene KellyとFraces McKeeの2人を中心とし、リズム隊を入れてバンドの体裁を取ってはいるものの、ドラマーにはEugene Kellyの兄弟を引っ張り込んだ訳ですから素人集団丸出しには違いありません。

 持ち上げては落すイギリスのメディアとは無縁の立ち位置にして、マッチョな印象を纏うロック・ミュージックなるものの価値観を木っ端微塵に砕く姿勢。そんな彼らが奏でる音楽が海を渡り、アメリカの片田舎で燻っていたKurt Cobainの胸に深く刻まれたというのも興味深い事実です。

 背骨を抜き取られたような腑抜けたポップ・ソングの雨あられ。音質も音の作りも貧弱としか言いようのない出来なのですが、ほんわかとした憎めない歌とメロディーが炸裂すると、もう抗う術がありません。胸躍る瞬間に何度も襲われてしまいます。

 NirvanaあるいはEugenius経由でこのThe Vaselinesに触れたとなると、思い切り肩透かしを食らう羽目になるのでしょう。かく言う当方も例外ではなく、がっかりはしなかったものの時間をかけて聴き込んで行った次第です。

 一旦慣れてしまえば後は楽なものでして、これがギターポップの踏み絵もしくは物差しとして機能することでしょうというのは言い過ぎですが、あとはもう、その痛快さに病みつきなること請け合いです。

 God Bless Les Paul.
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by chitlin | 2006-06-30 01:15 | Pop/Rock
 ご存知の通り、キッズ・グループの最高峰であるフィンガー5です。本盤はとりわけファンキーな楽曲が花盛りの編集盤です。

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 伸びやかで、高く突き抜ける玉本晃の歌いっぷりが天性のものであることは言わずもがなです。また、リズム感の素晴らしさに思わず溜め息の連続です。

 大ヒット曲M2「個人授業」やM3「恋のダイヤル6700」、M16「学園天国」以外の収録曲もそれぞれに魅力を振りまいておりまして、聴いているこちらの腰も自然とバンプ!

 3曲も収録された本家Jackson 5やThe MonkeesのM4「ステッピン・ストーン(I'm Not Your Steppin' Stone)」のカヴァーにおける解釈にも舌を巻くほどの切れ味を忍ばせています。

 ずしりとした重みを感じるM11「ママはセクシー」やラグタイム調のM12「華麗なうわさ」、とろけるような甘さを持ったM13「シンディ思い出ありがとう」といったところで緩急がつけられ、決して飽きさせません。

 彼らならではのファンキーなしなやかさを存分に堪能することが出来ます。

 やはり、最後に置かれたリミックス曲は蛇足でしょう。
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by chitlin | 2006-06-27 23:10 | J-Pop
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 7インチ・シングルなので2曲入りです。1980年代、R.E.Mと同時期に活躍したThree O'Clock解散後にMichael Quercioがまたもや中心となって結成したトリオが、このPermanent Green Lightです。


 一直線に突き進むM1「We Could Just Die」は骨太で歯切れの良いビートを叩き出す、デビュー・シングルのA面に相応しい1曲です。

 ワウ・ギターに包まれたB面曲M2「The Truth This Time」では、乾いたアメリカの空気のお陰で透明感のある歌が良く映えています。 

 どちらも若さいっぱい甘酸っぱさ満開で、初々しくも瑞々しいメロディー丸出しのパワー・ポップの理想形です。
 The Three O'Clock時代と変わらないどころか、それ以上に清々しい1枚です。

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by chitlin | 2006-06-26 00:33 | Pop/Rock
 苦虫を噛み潰したかのような表情のジャケット写真が何とも印象的な『Helen Merrill With Clifford Brown』です。

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 Helen Merrillのハスキーな歌声が煙る夜の街を彷彿とさせます。

やはり、表題の通りの競演だけあってClifford Brownの艶やかなトランペットと来たら歌伴としての付け合せに留まるどころか、彼女の情感豊かな歌唱以上に歌い倒しています。

 当時、弱冠21歳のQuincy Jonesが編曲と指揮を手掛けた作品であることでも知られます。

M2「You'd Be Nice To Come Home To」やM7「'S Wonderful」を筆頭にして、当方のような初心者でも納得のジャズ・ヴォーカルの大スタンダード集に違いありません。

 同様の競演盤には『Sarah Vaughan With Clifford Brown』(1954)がありまして、どちらも甲乙つけ難い作品な訳ですが、個人的にはやはり本作に軍配をあげてしまいます。
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by chitlin | 2006-06-25 22:55 | Jazz

Ride / Going Blank Again (1992)

 『Going Blank Again』(1992)を久々に棚から引っ張り出してみました。Rideにとって2枚目のアルバムに当たります。

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 ジャケット・デザインからして気に入らず、発売当時には馴染めずにいたので個人的には以降、彼らの作品に触れる一切の機会を失う引き金となったものでした。

 彼らにとって最大の売りであり、それ故にデビュー当時から大変な注目を浴びることとなった要因である轟音ギターと奔流するフィードバック・ノイズをうっちゃり、普通にポップなギターバンドへと傾斜して行った1枚です。もっとも以前からこうした資質を持ち合わせていた節があったようにも感じます。

 収録曲の出来についてはそれなりに粒揃いと言えるのかも知れませんが、これまでのような衝撃波を期待することもお門違いなことでしょう、きっと。
 輪郭のくっきりした楽曲が並べられていまして、これまでの作風と比較して格段に明るく幅が広がったことは明白です。
 しかしながら、醒めた歌い方故に甘ったるさは勿論、甘酸っぱさすら微塵も感じさせません。

 厳しいことを言ってしまえば、シングル曲のM1「Leave Them All Behind」とM2「Twisterella」の他にはM5「Mouse Trap」くらいしか引っ掛かって来ないのは現在でも変わりありません。

 青臭さと少なからず大人に成長した痕跡との微妙な均衡には心を動かされてしまいますけれど。
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by chitlin | 2006-06-24 19:59 | Pop/Rock

夜を抱きしめたい (1997)

 本作は幻の名盤解放歌集*大映レコード野望編に当たる『夜を抱きしめたい』です。歌手だけでなく大映所属の俳優ののど自慢美声を堪能することが出来ます。

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 “すべての音盤はすべからくターンテーブル上(CDプレーヤー内)で平等に再生表現される権利を有する”

 この宣言通り、この世の果てに打ち捨てられた特異な歌謡曲の亡骸を掬い取るべく活動に勤しむ幻の名盤解放同盟。

 後ろ髪を引かれる歌謡曲の一大絵巻として彼らが丹精込めてまとめ上げた編集盤シリーズを採り上げて行きます。

 M1「夜を抱きしめたい」はテレビ映画『愛の歌』の挿入歌なのだそうです。場違いな嬌声がBPMを瞬時に倍増させるかのような妖しいダンサーです。

 軽薄な歌声が間隙を突くことで破壊力を増幅させるエレキ歌謡M2「新宿野郎」が始まると否応無しに耳がスピーカーに吸い付けられます。この軽さと言ったら、ちょっくらちょいとはお目にかかれないものです。

 漢の手本たるM3「ガードマンの歌」は、エッジの効いたM20「ザ・ガードマンのテーマ」の歌入り版でもあり、これで一気に流れを引き込むことに成功しています。

 引き続き快調に飛ばす前半の目玉と言えるのが、如何わしさ満点の和製ラテンM4「ハメハメ」です。必要以上に鼻に抜ける歌声と無軌道ぶりに煽られ、思わず脱力させられます。

 渥美清の2曲とこれまた妙ちくりんなエキゾ感にむせ返るM9「恋のタムタム」までの間に入る渥美マリでようやく一安心です。
 彼女がしっとりと歌いこなす筒実京平作編曲のM5「真夜中のテラス」とM6「可愛い悪魔」は出色の出来です。

 そして、5曲も収録された八泉鮎子が本作の中盤を上手く引き締めています。断腸の思いを噴出させた熱唱によって、女性という生き物の業の深さ、奥深さを窺えます。
 特にM10「女ひとりで」とM11「その恋かえして」では良い塩梅で喉が開いています。

 中盤以降の女性陣の踏ん張りも頼もしい限りでして、江波杏子による美しいボサノヴァM16「さよならも云えなくて」を始めとして特筆すべきものがあります。

 M17「アイ・ラブ・ユー」とM18「いじめないで」、M19「女ながれ者」で聞けるけれんみたっぷりの渚まゆみの場合、少々刺があるのですが大人の女性の雰囲気を満喫することが出来ます。なかなかの聞き物です。

 各曲ともに粒揃いで全体的に意外と手堅くまとめられており、聞き所が多い1枚です。

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by chitlin | 2006-06-23 23:58 | J-Pop
 既にソロ・ミュージシャンとしても活躍していたStephen Duffyが結成したThe Lilac Timeの1作目です。

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 先日、とある店頭にて新装再発盤が目に留まり手に取ってしまいました。ジャケット・デザインが多少なりとも変更されていますが、リマスター仕様の上に追加収録曲が未発表だったBBC Sessions音源を含めて9曲にも上ります。これは聞き逃せません。

 M2「Rockland」が若干、異質ですが残りの収録曲は大半が牧歌的で生楽器の感触が活かされた構成です。
 シングル曲のM1「Black Velvet」やM2「Return To Yesterday」、M4「You've Got To Love」だけでなく、静閑なM5「Love Becomes A Savage」や穏やかなM9「And The Ship Sails On」も際立っています。
 また、アルバム本編の最後を締めくくるM10「Trumpets From Montparnasse」の軽妙さも無視出来るものではありません。

 Stephen Duffyの甘く繊細な歌声と素朴な空気を身に纏ったフォーク路線とが相乗効果を生み出しています。1980年代後半においてその味付けは異彩を放っていたのかも知れません。

 粒立ちの良い音色から音質の向上も認められ、Swordfish盤CDの音が古ぼけて聞こえます。

 肝心の追加収録曲としてシングルB面曲以外のM11「Black Velvet - Remix」は、元曲の良さが損なわれずに磨きがかけられ、深みが増しています。
 また、BBC Sessionsからの5曲ついて、本アルバム未収録曲も含めてこれまた雰囲気満点の素晴らしい味わいです。

 ブックレットにはStephen Duffy本人が半生を綴った文章が掲載されています。
 少年時代にBob DylanやLeonard Cohen、Joni Mitchellを発見し、次第に地元イギリスのフォーキー、Martin CarthyとFairport Conventionを知るに至ったそうです。とりわけ人生の転機となったのはThe Incredible String Bandを初めて観た晩だったとのことです。
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by chitlin | 2006-06-22 23:34 | Pop/Rock
 艶やかに黒光りする歌が眩いJimmy Lewis。時に語りかけ時に振り絞るようなその歌い口に、世の女性たちも腰砕け必至でしょう。

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 本作は『Totally Involved』(1974)を軸に12曲もの未発表音源が加えられ、彼の魅力が目一杯に詰め込まれた珠玉の編集盤です。

 Little Richardが寄せた序文で始まるブックレットの本文がJerry 'Swamp Dog' Williamsによって書かれています。
 その中でギラついたSam Cookeと評されていまして、妙に納得です。充実のブックレットの巻末には詳細なディスコグラフィーも添付されています。

 歌の巧さもさることながら、彼自身が未発表曲も含め収録曲すべての作詞作曲と制作を手掛けており、M2〜M9の『Totally Involved』においてもほとんどの編曲を共同で行っているという、ソウル・ミュージック界では珍しい才人です。

 件の未発表音源については、これがまたお蔵入りとなった理由がまったく理解出来ないほどに完成度の高い楽曲の連続です。
 モノラル録音が含まれていたり、表題曲M20「Still Wanna Be Black」ではヴォーカルがオンであるにも拘らずバックトラックの音質がデモのように貧弱なのですが、軒並み女性コーラスやホーンも重ねられておりきっちりと作り込まれています。
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by chitlin | 2006-06-21 00:08 | Blues/R&B
 4トラックのテープ・レコーダーを駆使しての自宅録音作品です。音質もそれなりです。

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 Sentridohとして4曲がカセットテープの形で既に発売されていたという、1989年から1993年までの間に録り貯めた音源をまとめた一番最初のアルバムです。メンバー間の不和からDinosaur Jr.を去ったLou Barlowが自身のSebadohでの活動の傍ら、しこしこと自宅録音に勤しんでいた時期でもあります。
 付け加えますと、本作はSonic YouthのSteve Shelly主宰のSmells Like Recordsから発売されました。

 単純にギターの弾き語りを収めたという訳ではなく、原始的ながらパーカッションや鍵盤などを重ねるといった具合で、随所に工夫の跡を窺えます。
 手短で、どれもこれも素描画のような手作り感覚に溢れつつ日常生活の中に転がる風景を感じさせる全10曲です。

 呼吸することと同じくらいに自然な生理として淡々と曲を書き上げ、俯き加減で訥々と歌うLou Barlowの姿が目に浮かびます。
 世紀末のアメリカで育ったX世代の持つ諦念が見え隠れする作品作りとでも言いましょうか。
 特に最後に置かれたM10「High School」の切なさには胸を締め付けられる思いです。

 これでしっかりと肉付けしてきちんとした環境で録音すれば、きらびやかなポップ・ソングとしてきっと完璧だろうなんて夢想させるほどに各楽曲の完成度には目を見張るものがあります。

 泉が湧き出るように創造力が豊かなLou Barlowは、1990年代半ばからはJohn Davisと組み、同様に自宅録音ユニットであるThe Folk Implosionとしても手作り作品を大量生産しています。
 また、2005年にはとうとうソロ名義で『Emoh』の発売を果たしました。すこぶる精力的に活動していることから分かる通り、このような才能が確実に息づいていることを嬉しく思います。
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by chitlin | 2006-06-18 18:42 | Pop/Rock
 梅雨の晴れ間にこんなベタな歌謡曲に耳を傾けることに抵抗を感じなくなった今日この頃です。というよりも、これはこれでなかなかに乙なものです。

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 好評を博し、レーベルの枠を超えた近代歌謡史シリーズ『青春歌年鑑』の続編に当たる、1980年限定のヒット曲集です。

 圧倒的な存在感を放つM1「舟唄」とM13「雨の慕情」にやはり聞き惚れるばかりです。
 日本に生まれて良かったと思える瞬間が訪れるものです。

 小田和正のハイ・テナーが冴えるオフコースのM16「Yes-No」に続くのが長尺のM18「防人の詩」です。
 映画『二百三高地』(1980)のテーマ曲でもある、壮大なスケールで生命の根源性を問いかけるこの楽曲に身体が打ち震える思いです。

 掘り出し物はサザンオールスターズをカヴァーした高田みづえのM19「私はピアノ」です。大人の事情を散見することが出来る一品です。

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by chitlin | 2006-06-17 20:15 | J-Pop