Hey Ho Let's Go!


by chitlin
 既にソロ・ミュージシャンとしても活躍していたStephen Duffyが結成したThe Lilac Timeの1作目です。

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 先日、とある店頭にて新装再発盤が目に留まり手に取ってしまいました。ジャケット・デザインが多少なりとも変更されていますが、リマスター仕様の上に追加収録曲が未発表だったBBC Sessions音源を含めて9曲にも上ります。これは聞き逃せません。

 M2「Rockland」が若干、異質ですが残りの収録曲は大半が牧歌的で生楽器の感触が活かされた構成です。
 シングル曲のM1「Black Velvet」やM2「Return To Yesterday」、M4「You've Got To Love」だけでなく、静閑なM5「Love Becomes A Savage」や穏やかなM9「And The Ship Sails On」も際立っています。
 また、アルバム本編の最後を締めくくるM10「Trumpets From Montparnasse」の軽妙さも無視出来るものではありません。

 Stephen Duffyの甘く繊細な歌声と素朴な空気を身に纏ったフォーク路線とが相乗効果を生み出しています。1980年代後半においてその味付けは異彩を放っていたのかも知れません。

 粒立ちの良い音色から音質の向上も認められ、Swordfish盤CDの音が古ぼけて聞こえます。

 肝心の追加収録曲としてシングルB面曲以外のM11「Black Velvet - Remix」は、元曲の良さが損なわれずに磨きがかけられ、深みが増しています。
 また、BBC Sessionsからの5曲ついて、本アルバム未収録曲も含めてこれまた雰囲気満点の素晴らしい味わいです。

 ブックレットにはStephen Duffy本人が半生を綴った文章が掲載されています。
 少年時代にBob DylanやLeonard Cohen、Joni Mitchellを発見し、次第に地元イギリスのフォーキー、Martin CarthyとFairport Conventionを知るに至ったそうです。とりわけ人生の転機となったのはThe Incredible String Bandを初めて観た晩だったとのことです。
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# by chitlin | 2006-06-22 23:34 | Pop/Rock
 艶やかに黒光りする歌が眩いJimmy Lewis。時に語りかけ時に振り絞るようなその歌い口に、世の女性たちも腰砕け必至でしょう。

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 本作は『Totally Involved』(1974)を軸に12曲もの未発表音源が加えられ、彼の魅力が目一杯に詰め込まれた珠玉の編集盤です。

 Little Richardが寄せた序文で始まるブックレットの本文がJerry 'Swamp Dog' Williamsによって書かれています。
 その中でギラついたSam Cookeと評されていまして、妙に納得です。充実のブックレットの巻末には詳細なディスコグラフィーも添付されています。

 歌の巧さもさることながら、彼自身が未発表曲も含め収録曲すべての作詞作曲と制作を手掛けており、M2〜M9の『Totally Involved』においてもほとんどの編曲を共同で行っているという、ソウル・ミュージック界では珍しい才人です。

 件の未発表音源については、これがまたお蔵入りとなった理由がまったく理解出来ないほどに完成度の高い楽曲の連続です。
 モノラル録音が含まれていたり、表題曲M20「Still Wanna Be Black」ではヴォーカルがオンであるにも拘らずバックトラックの音質がデモのように貧弱なのですが、軒並み女性コーラスやホーンも重ねられておりきっちりと作り込まれています。
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# by chitlin | 2006-06-21 00:08 | Blues/R&B
 4トラックのテープ・レコーダーを駆使しての自宅録音作品です。音質もそれなりです。

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 Sentridohとして4曲がカセットテープの形で既に発売されていたという、1989年から1993年までの間に録り貯めた音源をまとめた一番最初のアルバムです。メンバー間の不和からDinosaur Jr.を去ったLou Barlowが自身のSebadohでの活動の傍ら、しこしこと自宅録音に勤しんでいた時期でもあります。
 付け加えますと、本作はSonic YouthのSteve Shelly主宰のSmells Like Recordsから発売されました。

 単純にギターの弾き語りを収めたという訳ではなく、原始的ながらパーカッションや鍵盤などを重ねるといった具合で、随所に工夫の跡を窺えます。
 手短で、どれもこれも素描画のような手作り感覚に溢れつつ日常生活の中に転がる風景を感じさせる全10曲です。

 呼吸することと同じくらいに自然な生理として淡々と曲を書き上げ、俯き加減で訥々と歌うLou Barlowの姿が目に浮かびます。
 世紀末のアメリカで育ったX世代の持つ諦念が見え隠れする作品作りとでも言いましょうか。
 特に最後に置かれたM10「High School」の切なさには胸を締め付けられる思いです。

 これでしっかりと肉付けしてきちんとした環境で録音すれば、きらびやかなポップ・ソングとしてきっと完璧だろうなんて夢想させるほどに各楽曲の完成度には目を見張るものがあります。

 泉が湧き出るように創造力が豊かなLou Barlowは、1990年代半ばからはJohn Davisと組み、同様に自宅録音ユニットであるThe Folk Implosionとしても手作り作品を大量生産しています。
 また、2005年にはとうとうソロ名義で『Emoh』の発売を果たしました。すこぶる精力的に活動していることから分かる通り、このような才能が確実に息づいていることを嬉しく思います。
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# by chitlin | 2006-06-18 18:42 | Pop/Rock
 梅雨の晴れ間にこんなベタな歌謡曲に耳を傾けることに抵抗を感じなくなった今日この頃です。というよりも、これはこれでなかなかに乙なものです。

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 好評を博し、レーベルの枠を超えた近代歌謡史シリーズ『青春歌年鑑』の続編に当たる、1980年限定のヒット曲集です。

 圧倒的な存在感を放つM1「舟唄」とM13「雨の慕情」にやはり聞き惚れるばかりです。
 日本に生まれて良かったと思える瞬間が訪れるものです。

 小田和正のハイ・テナーが冴えるオフコースのM16「Yes-No」に続くのが長尺のM18「防人の詩」です。
 映画『二百三高地』(1980)のテーマ曲でもある、壮大なスケールで生命の根源性を問いかけるこの楽曲に身体が打ち震える思いです。

 掘り出し物はサザンオールスターズをカヴァーした高田みづえのM19「私はピアノ」です。大人の事情を散見することが出来る一品です。

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# by chitlin | 2006-06-17 20:15 | J-Pop

Creation Soup Volume Two (1991)

 Creation Recordsがリリース100枚を遂げた記念、節目を機に発売されたレーベル初期を総括する編集盤の第2弾です。

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 これまでに発売されたシングル盤のAB面両曲がカタログ番号順に23曲も並べられています。勿論、今となっては大変貴重な音源に相違ありません。

 Rough Trade Recordsが躍進する1980年代半ばのイギリスのポスト・パンク/ニューウェイヴ以降のインディー・シーンのみならず、稚拙ではあるものの勢いに任せて思いの丈をぶちまけたうだつの上がらない七転八倒する若者たちの姿を切り取った1枚でもあります。

 冒頭を飾るのはグラスゴーの万年モラトリアム番長、The Pastelsの3曲です。意外と様々な音色が楽しいM1「Million Tears」を皮切りに、後年、幾度か再録音されているM3「Baby Honey」は執拗に同じコードを繰り返し攻め立てる呪術的な1曲といった具合にアルバムを残せなかった彼らの活躍を確認することが出来ます。
 M2「Surprise Me」が彼ら自身の名曲「Stay With Me 'Til Morning」にそっくりなのはご愛嬌ということでしょうか。

 個人的に本盤の最大の聞き所がPrimal ScreamのM13「It Happens」です。彼らのデビュー・シングル『All Fall Down』(1985)のB面曲です。
 The Byrdsの如く煌めく12弦リッケンバッカーの音色とシャッフルのリズムがBobby Gillespieの頼りない歌声を支え、夢見るようなメロディー・ラインを引き立てています。

 たった2分のこの楽曲が日常のしがらみやら苛立ち、焦燥感などのつまらぬことを一切合切洗い流してくれる訳です(←現実逃避というやつです)。 
 未だ現役、アルバム毎に異なる方向性を打ち出すことでファンを魅了していますが、個人的にはこの1曲で充分に満足です。何ものにも代え難く、結局、彼らのデビュー・アルバム『Sonic Flower Groove』(1987)すら売り飛ばしてしまう始末です。

 まるで素人の与太話のようにしか聞こえないSlaughter Joeと本来ならば収録されるべきThe Jesus And Mary Chainをなぞっただけにしか聞こえないMeat Whiplashが続く後半の流れはいただけません。

 そこでCreation Recordsの主宰であるAlan McGeeの懐刀、The Loftに救われます。M21「Time」の持つ鬱蒼としたやるせなさが聴く者の胸の内側を密やかにえぐり去って行きます。

 裏ジャケットに記載されたAlan McGeeからのメッセージを引用してみます。
 "本作は現在廃盤の初期Creationのシングル盤の全貌を捉えたシリーズの1枚。最初の20枚は二つ折りのスリーヴで、Joe Fosterと私が週に4回か5回は夜を徹して折っていたものだ。このシリーズは偏執狂的なCreationファンのためのもの。これでまた全部手に入るはずだ・・・もう手紙を送って寄越すな!"

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# by chitlin | 2006-06-16 22:47 | Pop/Rock
 The Associationがヒットさせた「Windy」(1967)の作者として知られるRuthann Friedmanが奏でる、実に素晴らしいアコースティック・ギターの弾き語り作品でもある唯一のアルバムです。

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 一見、大変地味に感じられるのかも知れませんが、収録曲のほとんどが彼女自身の芯の通った清々しいギターと瑞々しくも儚い歌声のみで形作られているために、その存在感が輪をかけて際立っています。
 また、微かに漂うサイケデリックな風味に鼻腔が刺激されます。

 じっくりと耳を傾けてみますとソングライターとしての資質は言うまでもなく、純粋にフォークシンガーとしての並々ならぬ実力を存分に味わうことが出来る初CD化作品です。

 何かにつけてVashti Bunyanの名が引き合いに出されるようですが、それはお門違いな物言いなのではと感じます。それならばJoni Mitchellか、Judee Sill辺りの系譜の一端を成しているというのが妥当な線でしょう。

 Van Dyke Parks編曲というシングル曲M13「Carry On (Glittering Dancer)」が追加収録されています。
 Van Dyke Parks愛好家にとっては興味を大いにそそられるような奇天烈サイケデリック・ポップのため、本作からは明らかに浮き上がっていまして、個人的には蛇足にしか思えません。

 時たま、のっぴきならない復刻作品を発売するレーベル、Waterから今後も目が離せません。
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# by chitlin | 2006-06-15 22:41 | Pop/Rock
 二大オルガニストの巨匠が、がっぷりよつに組んでの白熱した双頭ライヴ盤です。

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 副題として“The Complete Concert Recorded Live At Paul's Mall, Boston 1973”とある通り、Jimmy McGriffとRichard Groove Holmesの丁々発止のせめぎ合いが70分以上に渡り延々と続く訳です。

 こうなると聴いてるこちらも体力勝負です。どうしたって自然と腰が浮き上がり血沸き肉躍る有り様です。

 只ひたすら大蛇のようにうねり、熱くて厚い漆黒の高気圧に巻き込まれること必至のコテコテのオルガン・ジャズの生バトルです←クドい!  

 10分に渡るM1「The Preacher's Tune」からとぐろを巻くようなグルーヴ感を腹一杯に喰らう羽目になります。
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# by chitlin | 2006-06-13 23:41 | Jazz
 思わずジャケット買いをしてしまった1枚です。
 二十歳前後の頃には何かにつけて、エサ箱の端から端まで隈無くアナログ盤をめくり続け、グッと来る見栄えの良いジャケット・デザインの7インチ・シングルを闇雲に拾い上げていたものでした。

 
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 幼年期に誰もが経験したでしょう、思い切り緊張した男児の面持ちが何とも言えないこのジャケット・デザインのシングル盤も当てずっぽうに買い求めた憶えがあります。

 実際のところ、Whirlpool Guest Houseの経歴や消息はおろか、このシングル盤だけしか知りません。

 A面の「Changing Face」について、演奏自体は確かに稚拙ではありますがなかなか上出来です。女性ヴォーカルも活躍する、翳りを湛えた当時のイギリスのギターポップらしさに好感を持てます。

 B面曲の「Jack Of All Trades」はと言うと若干、大袈裟な歌い回しが気になる程度でして、この7インチ・シングルに賭ける意気込みのほどを見守りたくなる塩梅です。
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# by chitlin | 2006-06-11 23:23 | Pop/Rock
 本作は幻の名盤解放歌集*テイチクお色気編に当たる『あなたと死にたい私』です。また、これは内田高子を大きく扱った1枚でもあります。

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 “すべての音盤はすべからくターンテーブル上(CDプレーヤー内)で平等に再生表現される権利を有する”

 この宣言通り、この世の果てに打ち捨てられた特異な歌謡曲の亡骸を掬い取るべく活動に勤しむ幻の名盤解放同盟。

  “世界はお色気のうっふんの“う”と“ふ”の間の“っ”にすぎない”というのもけだし、名言です。

 反則技すれすれの業が深い歌謡曲の一大絵巻として彼らが丹精込めてまとめ上げた編集盤シリーズを採り上げて行きます。

 まずは肝心の内田高子の『あなたと死にたい私』自体についてです。今の耳で聴いてみますと、解説にあるような“海綿体がほどよく膨らむ”などということは個人的になかった訳です。
 ネグリジェをステージ衣装としたことからネグリジェ歌手と呼ばれたものの、ピンク女優へと転落転身し結果的に映画の世界で人気を博したそうです。その引退直前のアルバム作品というのが本盤の核を成しています。

 流石にいくつか挟み込まれるナレーションは際どいものなのですが、それでも下半身に流れる血液を沸騰させる威力はなかったようです。

 これというのも最後に3曲固めて池玲子の楽曲が収録されているせいもあるのでしょう。むせ返るようなフェロモン歌謡の真骨頂を目の当たりにしてしまうとブランデーも薄味に聞こえます。
 決まり手は池玲子の諸差しから寄り切りならぬ豪快な吊り落としでしょう。

 "夜のワーグナー"こと藤本卓也作品を歌う岸ユキは、テレビ・ドラマ『サインはV』のキャプテン役を演じていたとのことです。お色気歌謡というよりガール・ポップという側面をも見て取れます。

 今をときめく梶芽衣子については、大野雄二作曲・編曲というレア・グルーヴ(?)に物騒な歌詞を乗せた2曲が収録されています。やさぐれた歌い口で情念を燃やし、凄みは勿論、貫禄も満点です。

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# by chitlin | 2006-06-10 22:43 | J-Pop
 1950年代から山ほどセッションをこなして来たR&Bテナーの大親分、King CurtisがThe Kingpinsを率いて繰り広げる熱いライブ盤を採り上げてみましょう。

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 Aretha Franklinの『Live At Fillmore West』(1971)において力強くバックアップする直前、即ち前座を務めた際の音源に当たります。

 圧巻なのは初っ端のM1「Memphis Soul Stew」です。料理に喩えたメンバー紹介と共に各楽器が徐々にグルーヴを織り成して行き、最後にKing Curtisが豪快にかますサキソフォンの咆哮も激しく強烈な1曲です。
 先日、完売となった『Don't Fight The Feeling: The Complete Aretha Franklin & King Curtis Live At Fillmore West』によって明らかになったように、実は最終曲として演奏されたものです。

 また、当時のThe Kingpinsのメンバーというのが強者揃いで、まさしく鳥肌ものです。

 Cornell Dupree (g)、Jerry Jemmott (b)、Bernard Purdie (dr)、 Truman Thomas (electric piano)、Pancho Morales(congas)、Billy Preston (org)、The Memphis Horns

 件の一連のステージにおいて「My Sweet Lord」を披露し、特別ゲストだったBilly Prestonが亡くなってしまいました。故人のご冥福をお祈りいたします。
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# by chitlin | 2006-06-09 00:38 | Blues/R&B