Hey Ho Let's Go!


by chitlin
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Pixies / Surfer Rosa (1988)

 ボストンを根城にするPixiesがひょんなことから4ADに拾われ、豪快にぶちかました最初のフル・アルバムが『Surfer Rosa』です。
 ジャケット・デザインの美しさが4ADならではです。

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 一目見てロック・ミュージシャンには到底思えない4人ですが、逆説的にそんな彼らが最高にロックな存在と言えるのかも知れません。

 ハードコア職人、Steve Albiniが録音を手掛けたことによって、空間を活かした独特な音の組み立てが奏功し騒々しくも輪郭が明確です。

 それにも増して剥き身の生々しさに溢れた疾走感で聴く者の胸の内を焼き尽くし、凶暴なギターが轟くのはこれ以降も変わらぬ所作です。
 また、パンクを通過した奔放な破れかぶれ具合が何とも痛快です。

 M1「Bone Machine」から狂乱の咆哮が炸裂する物騒な幕開けに覚悟を決めます。
 Mrs. John MurphyことKim Deal がリード・ヴォーカルをとるM5「Gigantic」はと言えば、M3「Something Against You」やM6「River Euphrates」などが居並ぶこれ以上無いほどに殺伐とした雰囲気の中でひと息つける瞬間です。
 M7「Where's My Mind」におけるスケール感の大きさは特筆ものです。

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# by chitlin | 2006-07-31 23:58 | Pop/Rock
 本作は幻の名盤解放歌集*日本コロムビア編に当たる『スナッキーで踊ろう』です。

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 “すべての音盤はすべからくターンテーブル上(CDプレーヤー内)で平等に再生表現される権利を有する”

 この宣言通り、この世の果てに打ち捨てられた特異な歌謡曲の亡骸を掬い取るべく活動に勤しむ幻の名盤解放同盟。

 業が深い歌謡曲の一大絵巻として彼らが丹精込めてまとめ上げた編集盤シリーズを採り上げて行きます。

 華々しく冒頭を飾るのは、風呂場で録音されたかのように素っ頓狂に響くサビに対してスナッキー・ガールズによる甲高いコーラスも効果的なM1「スナッキーで踊ろう」です。
 本盤の表題曲だけあって歌謡の概念を揺るがすような衝撃をもたらすこと必至です。また、それ以上にこの『幻の名盤解放歌集』シリーズを代表する1曲であり、その存在を結果的に広く白日の下に晒すきっかけとなったことは確実でしょう。
 とぐろを巻くギターの音色や控え目なオルガンも怪しく響くある種サイケデリックな酩酊感を味わえること請け合いです。

 特筆すべきは6曲も収録されているマリア四郎の過剰なまでに恐ろしい粘着質です。貴男の骨の髄にまで絡み付くような、情念が蒼白くたぎるその歌唱は唯一無二のものです。悶絶歌謡の頂点を極めています。 
 地味に劇的な展開を見せるM3「傷恋」やM11「恋情」にしても尋常ではない作品なのですが。
 それにも増して、軽々と別次元へと跳躍してみせるM2「もだえ」とM12「恋の吹きだまり」には即刻胸を撃ち抜かれてしまいます。

 続くは打って変わって青春歌謡が亜脱臼したようなM4「青春火山」で“火の海”に包まれ、歯止めの利かないエレキ歌謡M5「恋のチューリップ」が徹夜明けの高揚感を思い出させます。

 かすれた歌声がなんとも艶やかなM6「南国の夜」で一服と思いきや、これがまた不用意に聞き逃せないムード歌謡の逸品に仕上げられています。

 藁にもすがりつきたい心情が手に取るように伝わって来るM7「東京のひと」とM8「太陽がほしい」もまた、それぞれに入魂の1曲です。

 一億総中流などという戯言を2千万光年の彼方に蹴飛ばしてしまうのが M10「父ちゃんどこさ行った」です。その場の空気を瞬時に凍り付かせる極めて殺傷能力の高い、涙なくしては聴くことが許されない幼女の一撃です。“近所の人達 口うるせ”だそうです。

 最後のM15「どこへ行くの」がこれまた、今まで何事もなかったかのような空虚さを露呈しています。

 抜群の高打率を誇る数々の 『幻の名盤解放歌集』において、本作は希有な選曲に恵まれた1枚です。

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# by chitlin | 2006-07-30 10:02 | J-Pop

Idha / Melody Inn (1994)

 Idhaという方は現在、引退状態であり元Ride・現OasisのAndy Bellの奥様です。

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 1991年7月8日に行われたRideのNHKホール公演を観に行った時のことです。
 座席を確認した後、ふとロビーへと向かいました。
 当てもなくうろついていたところ、絶世の美女が独り、微笑みを浮かべながら佇んでいるのを見掛けました。

 すかさず思いました。「なんでRideなんかのライヴに、こんな綺麗な女性が!?」。

 時が経ち、Creation Recordsより突如として本作『Melody Inn』(1994)が発売されました。
 果たしてその作風は柔らかな女流カントリーというもので、唐突にして出会い頭の衝撃を受けました。

 当然、こう思いました。「なんでCreationからこんなレコードが!?」。

 M8「Hickory Wind 」がGram Parsons作であることは当時、既に認識してはいました。
 一方、ピアノとハモンド・オルガンで力添えしているIan McLaganについて、Small Facesのことなどひとつも知りもしませんでした。
 ブックレットに掲載されている写真の1枚、自動車のボンネットの上で彼女と一緒に収まっているのを観て「誰だこの中年は」といった有様でした。

 その後、Rideを積極的に聴くこともなくなった頃にとある雑誌でIdhaとAndy Bellの仲を報じる記事を遅ればせながら目にしました。

 雷に撃たれたかのような衝撃を受けました。

 「世の中、うまいこと出来てるなぁ〜」。

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# by chitlin | 2006-07-27 23:20 | Pop/Rock

Rosa Passos / Recriacao (1979)

 未だ現役で活躍中のRosa Passosによるデビュー・アルバム、『Recriacao』を採り上げてみます。

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 月並みですが、収録曲はどれもこれも優れたMBPの連続です。そして、何よりも彼女の可憐で初々しい歌声が最大の魅力でして、それがいかんなく発揮されています。
 ただし、1979年というと個人的には音の作りが中途半端に新しく感じることが多々あるのです。果たしてキーボードの導入が若干の違和感を与えてくれます。

 と、当たり障りのないこと申し上げておりますが。

 先月、タワーレコード新宿店にて本作を試聴した上で購入に至っています。実際にここ1ヶ月ほど繰り返し耳を傾けた結果、上記のような印象を受けたものの我ながら馴染んで来る様子がありません。

 ずっと以前からこういうことがあったと思い当たる節がない訳でもありません。

 10代も後半になると書店で周囲の視線をかいくぐりながら、大人向けの雑誌を高速でチェック。清水の舞台から飛び降りる覚悟で購入した後、自宅にて満を持して吟味しようとすると・・・。
 大抵の場合、大きな肩すかしを喰らい、募る徒労感に苛まれるのがオチでした。

 逸る気持ちを抑えながら、店頭で必死にページを繰っていることそれ自体が胸を高鳴らさせていたのかも知れません。

 翻って今現在、やっていることは大して変わらず、徒に試聴を重ねては勝手にときめいて散財経験値を上げているのだと自分を納得させることとしましょう。

 本作の場合も相性が良くなかったでは残念極まりないことですから、しつこく聴き倒して夏を満喫したいところです。
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# by chitlin | 2006-07-26 01:13 | Brazil/Latin

辿り着いたその先に

 “最後のFM局”Last.fmがついに日本上陸

 当ブログの親元のエキサイトが本日、音楽を通じたコミュニティサービス『Last.fm 』の日本語版を開始したそうです。

 早速、飛んでみましたら。

 自らの英語力を思い知ったり。

 ユーザインタフェースに戸惑ったり。

 んー、結局、訳が分かりませ〜ん。
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# by chitlin | 2006-07-25 20:54 | 雑感
 情緒感たっぷりのスペイン産プログレッシヴ・ロックにしてフルート、ヴァイオリン、ピアノ、メロトロンなどを操り、全ての楽曲を手掛け自ら歌うというCarlos Carcamoによるワンマン・バンドと言われるGranadaの1作目です。

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 プログレッシヴ・ロックに手を伸ばし始めたのは実はここ3、4年のことです。
 さらにユニバーサルミュージックからイタリアのプログレッシヴ・ロックの名グループの作品群が紙ジャケットCDとして大量に発売されたことから、イギリス以外のプログレッシヴ・ロックの存在を意識するようになった訳です。

 イタリアのプログレッシヴ・ロックに馴染んで来た昨年、3面開きの限定デジパックのデジタル・リマスター盤である本作をほんの出来心で購入してしまいました。

 冒頭のM1「Granada」からして湧き出るアイディアが縦横無尽に駆け巡り交錯した結果、とっちらかってしまった様な風情です。
 この辺りは、徹底した構築美を誇るKing CrimsonやYesの作品とは趣を異にし、どちらかと言うとイタリアのプログレッシヴ・ロック勢に通じるおおらかさを散見することが出来ます。

 侘しさと哀愁に満ちたM2「Rompiendo La Oscuridad」にしても3分を超えてからの激しいギターのカッティングとフルートとの絡み具合を全面に出した部分を含めて取っ付き易さを見て取れます。

 前奏でメロトロンの洪水とスパニッシュ・ギターが絡むM3「Hablo De Una Tierra」ではその後もスパニッシュ・ギターが全編に渡って鋭く弾き出され、聴く者を魅了する美しさは本作中の白眉です。

 M4「Nada Es Real」の導入部では洒落たボサノヴァ風味の清涼感が程よく眩しかったりするのですが、本編は思いの外に牧歌的というか隙だらけと言えましょう。それ故に終盤のM5「Es El Momento De Oir Un Buen Rock」とM6「Algo Bueno」で見られる行き当たりばったりに思える様な展開をも素直に受け入れられます。
 だからと言って決して空回りに終わってしまっている訳ではなく、ジャズを基礎に置く多才なCarlos Carcamoの奮闘ぶりが光ります。
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# by chitlin | 2006-07-24 00:53 | Pop/Rock
 1960年代の橋幸夫の音源を集めた企画盤を採り上げてみます。
 リズム歌謡研究家、厚家羅漢こと大瀧詠一監修という本作のテーマはやはりリズム歌謡です。鋭い洞察力にして見事な考察が奏功する解説文も必読です。

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 日本初のホットロッド作品というM1「ゼッケンNo.1スタートだ」では終始、疾風怒濤のエンジン音が轟き、熱いリヴァーブも唸りをあげます。

 M2「恋をするなら」はリズム歌謡第一号とされる恋愛賛歌です。
 何はともあれ“あ〜あああああ い〜いいいいい え〜えおおおお あいお〜っ”というどうしたって耳にこびり付いてしまう永遠不滅のフレーズに毎回のように目がくらむ思いです。

 リズム歌謡の頂点を極めたM4「あの娘とぼくと」では、副題が「スイム!スイム!スイム!」とあってその合いの手が絶妙に切り込んで来ます。

 M5「恋のアウトボート」での歌い方が意外と妙に艶かしいものであったり、これぞ青春歌謡といったM6「太陽だって泣いている」で挿し込まれる“恋をしようよ 清純でそのくせ激しい恋を”云々という語りの部分が逆に卑猥に聞こえるのは個人的な錯覚でしょうか。

 鉄壁のアンサンブルでまとめられたアメリアッチのM7「恋と涙の太陽」とひたすら陽気で問答無用のM8「恋のメキシカン・ロック」は共に朗々と歌い上げられ、鮮やかな締めくくりと相成ります。

 全曲を通して聴いてみますと、そこに共通するものがあります。いかにして意中の女性をモノにするかという奮闘ぶりが匂い立つようながっつき具合に支えられている訳です。

 それはさておきサーフィン、ホットロッド、スイム、アメリアッチといった当時の流行りを総なめにしたサウンド面での背後には作曲家、吉田正の野望が透けて見えて来ます。
 そして、その実態は都会派歌謡、すなわち吉田メロディーであるということが非常に示唆に富む解説によって明らかにされています。
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# by chitlin | 2006-07-20 01:37 | J-Pop

You Made Me ・・・

これはこれは、桂三枝師匠とMy Bloody Valentineとの夢のような競演ではないですか。
http://www.youtube.com/watch?v=S5rjfRoI77U&search=my%20bloody%20valentine


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# by chitlin | 2006-07-18 00:45 | 雑感

Ride / Twisterella EP (1992)

 これまた、まんまとジャケット写真に釣られてしまった1枚です。

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 彼らにとって2枚目のアルバム『Going Blank Again』(1992)から切られた4曲入りのEPです。このEP、実際には無題なのですが便宜上、『Twisterella EP』と呼ぶしかないでしょう。

 A面のリード・トラックM1「Twisterella」は、ハイハット・シンバルが小気味良く刻まれる大変ポップな1曲です。
 ギターの音はしっかり鋭角的ではありますが、従来のグループが見せる蒼く沈鬱な表情とは明らかにひと味違う新たな一面が弾け飛んでいます。

 その他の収録曲として、件のアルバムの表題曲でもあるM2「Going Blank Again」やB面のM3「Howard Hughes」、M4「Stampede」の3曲が収録されていますが、どれもメランコリックながら印象が薄いというアウト・テイクの典型的なものと言えそうな出来です。
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# by chitlin | 2006-07-17 22:30 | Pop/Rock

Mendez Trio / Trio (1976)

 メキシコ出身の3兄弟ピアノ・トリオ、Mendez Trioのアルバムを聴いてみました。

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 詳細を知らずして、とある店頭の手書きPOPに導かれ購入と相成りました。
 ブラジリアン・ジャズ・ボッサだとかブラジリアン・フュージョンだとかメロウ・ブラジリアンだとかメキシコ産のボッサ・ジャズだとか言いたい放題の甚句に躍らされてしまった訳ですが、結果的に思わぬ拾い物でした。

 確かにその出身地や野暮ったいジャケット・デザインからは想像もつかないほどに軽やかで爽やかな肌触りを感じさせてくれる全7曲です。

 通低音として全体を支配するフェンダーローズの微かに揺れる音色に惹き付けられてしまいます。

 程よく激しく、時には滑らかにと緩急をつけながら盛り上げて行くM2「Dagadu」を聴くことで本作への期待感が一層、高まります。

 どこまでも涼しげなM3「Alegrias 」では、ゲストの女性ヴォーカリストのスキャットと透明感溢れるフルートが織り成す洗練され具合に、今度は思わず胸の鼓動が高まります。

 三連符が柔らかに刻まれるM5「Los Nicos Del Nopal」がこれまた、大変に可愛らしい1曲です。小動物が跳ね回るかのように木琴が活躍し、意外と後を引くというか本作中の白眉でしょう。

 M6「Quetzalcaotl」では歯切れの良いホーンを絡ませジャズ・ファンクとしてじっくりと展開し、アルバム後半の流れを引き締めます。

 M7「Pepes Y Chelas」で響くボサ・ギターの音色は何とも魅惑的でして、休日の午後に実にぴったりです。

 今回のCDでの再発売の企画にはディスク・ユニオンが絡んでいるらしいです。
 従って追加プレスなぞは見込めないことでしょうから、一先ずは購入してみて損はなかったと改めて自分に言い聞かせるまでもないほどの当たりを引きました。
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# by chitlin | 2006-07-15 19:00 | Jazz