Hey Ho Let's Go!


by chitlin

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 七夕であるからということでもないのですけれど、今宵は大好きなTalulah Goshの『Rock Legends: Volume 69』(1987)について書いてみます。

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 53rd & 3rd Recordsから発売されたシングル曲などをまとめた編集盤です。
 これも『 Double Live Gonzo 69』(1987)と同様に無理矢理に購入してみたアナログ盤です。高くつきましたけれど、記念品のようなものですね。

 M1「Beatink Boy」とM2「My Best Friend」は記念すべき彼女たちのデビュー・シングル曲です。パンク色の強いこともあってか行き当たりばったり感がありありですね。
 M2「My Best Friend」については少々痛々しく感じるくらいです。

 1986年デビューですのでNMEの付録、『C86』にぎりぎり収録されなかったのも無理からぬことなんでしょうね。
 後身のHeavenly時代に“遅れて来たパンク”を自称していましたけれども、この時点で既に遅刻しているじゃあないですか。しくしく・・・。

 さて、M3「Steaming Train」とM4「Just A Dream」の2曲も件のデビュー・シングルと同時発売なんですけれど(12インチ・シングルの各面に振り分けられ)、出来不出来にはっきりと差がありますね。
 M4「Just A Dream」なんかはまさに夢見心地なんですよ。

 続くM5「Talulah Gosh」とM6「Don't Go Away」、M7「Escalator Over The Hill」が1987年に発売された件の『 Double Live Gonzo 69』の収録曲です。
 この12インチ・シングルは、以前にエントリした通りの好盤ですね。

 1988年発売の最後のシングル盤からの2曲がM9「Way Of The World」にM10「Testcard Girl」です。
 A面曲のM10「Testcard Girl」は珍しくベーシストのChris Scott作でして、彼は後にRazorcutsのGregory WebsterとSaturn Ⅴを結成するんでしたっけ。

 M11「Bringing Up Baby」とM12「I Can't Get No Sensation(Thank God)」とM13「The Girl With The Strawberry Hair」の3曲も1988年発売のシングル盤からです。
 結果的にグループ末期の音だとしても厚みもまとまりもありまして、M13「The Girl With The Strawberry Hair」で見せる疾走感に自然と胸が締め付けられます。

 こんな風に堅実にシングル盤を発売して行くというのは、親元の53rd & 3rd Recordsにとっても立派な有望株だった訳ですね、彼女たちって。

 もともとはオムニバス盤に提供されたというM8「My Boy Says 」の場合、そのコーラス・ワークが何とも可愛らしい仕上がりなので、失礼ながらElizabeth Price作とは思えないほどです。
 本盤随一の胸キュン・ナンバーですね。

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by chitlin | 2007-07-07 23:32 | Pop/Rock
 今回はTalulah Goshのシングルとしては3枚目に当たる『Double Live Gonzo 69』(1987)について書いてみます。
 今から20年も前のレコードなんですね。ある意味、恐ろしいことです。

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 ジャケット裏面にわざわざ“Double Live Gonzo 69”とあるので、これが表題だとして間違いないでしょう。
 また、Elizabeth Priceの後釜として既にEithne Farryの名が、そして制作にJohn A. Riversがクレジットされています。

 今となってはK Records発売の『Backwash』(1996)という編集盤が彼女たちの音源を網羅しています。手持ちの盤は12インチ・シングルでして、数年前に珍しく無理をして中古盤店にて入手したものです。

 グループ名でもあるA面曲のM1「Talulah Gosh 」自体は楽曲として何か特別な閃きのあるものではありません。
 単調なひら歌から一転してサビを倍テンポで盛り上げることを繰り返すのみですから作りとしては単純極まりない訳なのですが、逆にそれが殊更こちらの心の琴線に響く結果を導き出してくれます。

 目の覚めるような瞬発力で突っ走るM2「Don't Go Away」が、なぜだか身包みを剥がされる勢いを感じさせくれます。パンク色が強いんですね、これ。

 そんな電車道で以て押し込まれたと思ったらM3「Escalator Over The Hill」で突き上げられるという風にアメとムチを振りかざすような塩梅なんです。

 未だに彼女たちの一挙手一投足に振り回されっ放しなんですよ。
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by chitlin | 2007-05-04 21:14 | Pop/Rock
 Teenage Fanclubの記念すべきデビュー曲、M1「Everything Flows」を耳にしますとやはり今でも胸が詰まるような思いになります。

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 手持ちのCDは元々1990年発売の7インチ・シングル『Everything Flows』に1曲を追加し、ジャケット・デザインも変更したうえでの再発盤です。
 デザインを手掛けたのはJad Fairです。この時点である意味、共演を果たしていた訳です。

 M1「Everything Flows」は初期の代表曲です。轟音ギターが唸るのとは無関係に音質は決して良くはないのですけれど、そんなちっぽけなことを蹴飛ばしてしまう掛け値なしの1曲です。
 ある種の無常観をも湛えています。

 M2「Primary Education」は彼らのデビュー・アルバム『A Catholic Education』(1990)に収録されている「Catholic Education」と「Catholic Education 2」の初期ヴァージョンと言えるものです。
 The Boy Hairdressersの解散後も挫けず、Teenage Fanclubとして形になる前にNorman BlakeとRaymond McGinleyのふたりがしこしことデモ作りに励んでいた頃のものでしょう。

 M3「Speeeder」は冒頭に女性による“男の子の美容師たち”という台詞が入るインストゥルメンタル曲です。
 これも新グループ結成へと基礎体力を養う過程の産物と言えば聞こえが良い、他愛のない楽曲だったりします。

 M4「Don't Cry No Tears」は再発売にあたって追加されたNeil Youngの楽曲をカヴァーしたものです。そのよれた演奏と歌には却って熱い情熱を感じ取ってしまいます。
 ほかの楽曲ではありますが、BMX BanditsもカヴァーしていることからもNeil Youngに対する人気の高さが窺えます。

 かの53rd & 3rd Recordsよりシングル盤を1枚だけ発売したきりで頓挫してしまったThe Boy Hairdressersがその後、Teenage Fanclubとして長く活動を継続しているというのが何とも天晴れなことです。
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by chitlin | 2007-01-31 00:15 | Pop/Rock
 希代の名レーベル、53rd & 3rd Recordsから放たれたシングル曲を掻き集めたオムニバス盤の第2弾が不意に発売されたのが2000年でした。
 言うまでもなく第1弾の『Fun While It Lasted...』(1990)で出尽くした感がありますので、本盤の食い足りなさはどうしようもないことでしょう。

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 カタログ番号の頭に付けられたAGARRは“As Good As Ramones Records”の略のことであることは知る人ぞ知るというやつです。この辺りからも53rd & 3rd Recordsの出自を窺うことが出来ます。

 初っ端から気の抜けるThe VaselinesのM1「Molly's Lips」はNirvanaにカヴァーされたことからも人気爆発の1曲ですが、この原曲では“パフッ パフッ”と鳴らされるクラクションが逆にあざとさを醸し出しているものの、その可愛らしさに抗うことは難しいものです。
 さらにM8「Jesus Don't Want Me For A Sunbeam」もNirvanaによってカヴァーされておりまして、彼らの『MTV Unplugged in New York』(1994)に収録されています。

 本盤の最後を締めるM15「Sex Sux (Amen)」に至っては、Eugene Kellyが後に結成したEugeniusとしての来日公演の際に凶暴版とも言うべき激しさで再演していまして、大いに観客を沸かせました。

 未だ元気に現役続行のBMX Banditsは当時、順調にシングル盤を発売しています。
 本盤には2枚目のシングルからM4「The Day Before Tomorrow」が、3枚目の『Figure 4』(1988)からはM11「In Her Hair」が選ばれています。

 そのBMX Bandits以上に安定した活動を続け、単独アルバム『Rock Legends Vol.69』(1987)まで発売したTalulah Goshは本盤で3曲も採り上げられています。
 しかしながら、ここに収録された楽曲の出来映え以上と言えるものも当然の如く存在しますので、件のアルバムも聞き逃すことは出来ません。

 The Groovy Little NumbersのM5「Happy Like Yesterday」がこれまた、いつ聴いても古びることのない好曲です。思わず胸が高鳴ります。

 本盤によって目出度く初CD化と相成ったM7「Golden Showers」はThe Boy Hairdressersが唯一残した12インチ・シングルの表題曲です。

 Teenage Fanclubの母体とも言うべきこのThe Boy Hairdressers、桁こそ違えどスーパー・グループと呼んでも差し支えないほど錚々たる面々が名を連ねています。

 現代アートに携わっているというヴィブラフォン担当のJim Lambieのほか、The Groovy Little NumbersやSuperstarという本業以外に助っ人として大活躍したJoe McAlinden、現在はNice Manとしてソロ活動を行っているFrancis MacdonaldはTeenage Fanclubの初代ドラマーですし。
 勿論、Norman BlakeとRaymond McGinley率いるTeenage Fanclubも健在です。

 肝心のM7「Golden Showers」(←お小水ということでよろしいのでしょうか)について、歌も演奏も稚拙です。サビらしいサビもなく間延びした旋律が展開されるのですが、才能のひと欠片を感じさせる佳曲です。
 たいていThe Beach Boysが引き合いに出されるようですが、それでは贔屓の引き倒しではなかろうかと感じます。

 彼らの公式音源としては、前作『 Fun While It Lasted...』に件の12インチ・シングルより「The Assumption As An Elevator」が収録されたので、残るは「Tidalwave」のみとなります。

 おそらくこの楽曲を聞く機会はないのだろうと半ば諦めています。数年前に店頭にて『Golden Showers』(1987)を手に取った際には感激してしまいました。勿論、おいそれと購入することが出来る価格ではありませんでした。

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by chitlin | 2007-01-19 00:52 | Pop/Rock
 BMX Banditsにとって2枚目のシングルです。内容と何ら関係のないジャケット・デザインなのですが、彼らのディスコグラフィーを振り返ってみますと割とまともな方です。

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 手持ちのシングルは4曲入りの12インチ盤でして、本作からべーシストにJoe McAlinden、ドラマーにFrancis Macdonaldがそれぞれ正式にグループに加入しました。
 約10年後に出戻るJim McCullochがThe Soup Dragons結成のために去って行きますが、ここでBMX Banditsにとって磐石の布陣が整った訳です。

 M1「The Day Before Tomorrow 」と言えば、実はStephen Pastelが彼らのデビュー・シングルに相応しいと考えていたものの、最初の録音が不調に終わったために『Sad?/E102』に差し替えられたという曰く付きの1曲です。
 Stephen Pastelが推していただけあって、素直でわかり易い旋律と心温まる演奏が奏功しています。

 M2「What A Wonderful World」は勿論、Louis Armstrongの名唱で有名な「この素晴らしき世界」のカヴァーです。
 恐ろしいまでに気の抜けたこれ以上にないほどの脱力カヴァーに仕上がっていますが、芸達者なJoe McAlindenによるヴァイオリンが大活躍する名演と言えるのではないでしょうか。勿論、歌い手としてのDuglas T. Stewartも面目躍如です。

 M3「Johnny Alucard」はいつものパーティー・バンドぶりを発揮させたはちゃめちゃな1曲です。
 この直後に謎の偏執的なシュプレヒコールのようなものが挿し込まれています。

 M4「Sad!」は件のデビュー・シングル『Sad?/E102』に収録されている「Sad?」の勢いを抑え込んだ再録音ヴァージョンです。平たく言うと落ち着いたボサノヴァの感触が特徴です。
 個人的にはやはりこちらのM4「Sad!」の方が耳馴染みが良いことに変わりありません。
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by chitlin | 2006-10-05 22:36 | Pop/Rock

BMX Bandits / Sad?/E102 (1986)

 Duglas T. Stewart率いるBMX Banditsのデビュー・シングルを採り上げてみます。

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 この12インチ・シングルを手に入れたのは割と最近のことです。中古盤、しかもシングル盤に対して大枚を叩くなんてことはとても考えられなかったのですが、30代にもなると思い切りがよくなってしまい散財の引き金となってしまっています。

 7インチ・シングルの場合にはA面収録のM1「Sad?」とM2「E102」のみが、それぞれ両A面扱いだそうです。

 1985年、Duglas T. Stewartは前身グループのPretty Flowersの一員だったSean Dicksonと引き続き組み、共に詞曲を手掛け始めます。後にそのSean Dicksonと一緒にThe Soup Dragonsを結成するJim McCullochが加わることからBMX Banditsが形作られたようです。
 同じ頃に53rd & 3rd Recordsを興したStephen Pastelから早々とシングル制作の話を持ちかけられたそうです。

 件のM1「Sad?」とM2「E102」にしてもやはり初期The Soup Dragonsに通じるものがあります。しかも楽しさとポップさが弾け、いかにもBMX Banditsらしいという独自性を既に確固たるものにしています。

 M1「Sad?」については次の12インチ・シングル『The Day Before Tomorrow』に収録された再録音ヴァージョン「Sad!」を先に聴いていましたから、若干の違和感を持ちつつもこれはこれで牧歌的な弾け具合が微笑ましく感じられます。

 M2「E102」についてもライヴ盤『Totally Groovy Love Experience』(1989)での大雑把なテイクを先に聴いていましたので、カズーが吹き鳴らされるこちらの可愛らしさもまた、いとおかし。

 B面の初っ端のM3「The Cat From Outer Space」は、同じくPretty Flowersの一員だったNorman Blakeとの共作曲です。Pretty Flowers時代の演目なのかも知れません。
 後にThe Boy HairdressersとTeenage Fanclubを結成するNorman Blakeは終盤で不穏に轟くリコーダーを担当しています。

 M4「Strawberry Sunday」とM5「Groovy Good Luck Friend」は共に同じ1986年7月のステージからのライヴ音源です。演奏の下手さ加減は百も承知でしたが、見事に想像を上回るヘロヘロな出来です。

 特にM4「Strawberry Sunday」の場合、1番のひら歌の段階でドラム・マシンが叩き出す貧相なビートが狂い始め中断の憂き目に遭い、やり直しているほどです。
 最初はその様子をそのまま収録していることに驚きましたが、Duglas T. Stewartの変わらぬ人懐っこいパフォーマンスで以てその場を取り繕う頑張りをも含めて最も彼らしいひとコマとも言えるでしょう。

 これらのライヴ音源について、かのNorman Blakeがドラマーとしてクレジットされていますが、両曲とも生ドラムが入る余地がありません。後にThe Groovy Little NumbersSuperstarを結成するJoe McAlindenと共にコーラスを担当していることには納得出来るものの、この点については疑問の残るところです。

 10年後のシングル『We're Gonna Shake You Down』(1996)の表題曲M1「We're Gonna Shake You Down」で以て取りも直さずこうしたパーティー・バンドの頃へと原点回帰を宣言するも、今ではそれから更に10年も経ってしまった訳ですから何とも感慨深いものです。
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by chitlin | 2006-08-18 01:21 | Pop/Rock
 このアナログ盤はSarah Recordsより発売された、ふたつのBBC Sessionsをまとめた1枚です。 

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 二十歳を過ぎた頃、後身に当たるHeavenlyの2枚目のアルバム『Le Jardin De Heavenly』(1992)をきっかけに彼女たちにほだされ、このTalulah Goshに遡って行った訳です。
 既に彼女たちのシングル集の『Rock Legends: Volume 69』(1988)を入手出来ずにいまして、いちばん手っ取り早かったのが本盤でした。

 オックスフォードの大学生、Amelia FletcherがElizabeth Priceと出会って“女の子だけのバンドを組む”ことを目標にしたものの、それが叶わず恋人のPeter Momtchiloffや弟のMatthew Fletcherを引っ張り込んだ結果がTalulah Goshだった訳です。
 1960年代のガールポップとパンクを掛け合わせた理想的なグループであると未だに確信を持っています。

 驚いたことに53rd & 3rd Recordsから最初のシングル盤『Beatink Boy』(1986)を発売するより先にBBC Radio 1の『Jenice Long Show』においてセッションを持ったとのことです。
 それがM1「Talulah Gosh 」からM4「Sunny Inside」までです。Elizabeth Priceがリードを取っていると思しきM2「Do You Remember」とM4「Sunny Inside」は、残念ながら荒削りで一本調子の出来です。

 翻ってM3「Looking for a Rainbow」と来たら、手拍子ときらきらと輝くギターのアルペジオから始まり、骨の髄まで溶けてしまいそうな旋律と歌声に身震いしてしまうほどです。これほど胸が高鳴る思いをさせられることも珍しく、独り聴き入っては勝手に頬を赤らめてしまう始末です。

 M1「Talulah Gosh 」は後に53rd & 3rd Recordsからの3枚目のシングルとして発売される訳ですが、終盤にかけて盛り上がる肝心要の箇所にオルガンもコーラスも入らない初期ヴァージョンと言えるものです。食い足りない演奏ではありますが、Amelia Fletcherによる天使のように無垢な歌声は永遠の輝き放っています。

 2回目のBBC Sessionとしてかの名物DJ、故John Peelが取り仕切る『John Peel Show』のために録音したM5「My World's Ending」からM9「Spearmint Head」までがB面に収められています。

 そこに挟み込まれたM6「Be Your Baby」とM7「Break Your Face」、M8「In Love for the First Time」の流れが絶品です。Ramonesも真っ青な怒濤の3連打を喰らいポゴダンスもどこ吹く風、可憐な高速パンクに昇天すること間違いなしです。

 本盤が発売されるまで、M1「Talulah Gosh 」以外の楽曲がレコード化されていなかった事実を見逃せません。
 同期のThe VaselinesThe Groovy Little Numbersといった53rd & 3rd Records所属のグループは勿論、その他のギターバンドたちと比較してもその質、量において軽く勝っていると言えるでしょう。
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by chitlin | 2006-08-12 00:44 | Pop/Rock

The Vaselines / Dum-Dum (1989)

 The Vaselinesが53rd & 3rd Recordsに遺した唯一のアルバム作品です。中味そのものは『All The Stuff And More...』(1992)とSub Pop Recordsからの『The Way of the Vaselines』(1992)という2種類の編集盤に丸ごと収録されてはいますけれども。

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 Eugene KellyとFraces McKeeの2人を中心とし、リズム隊を入れてバンドの体裁を取ってはいるものの、ドラマーにはEugene Kellyの兄弟を引っ張り込んだ訳ですから素人集団丸出しには違いありません。

 持ち上げては落すイギリスのメディアとは無縁の立ち位置にして、マッチョな印象を纏うロック・ミュージックなるものの価値観を木っ端微塵に砕く姿勢。そんな彼らが奏でる音楽が海を渡り、アメリカの片田舎で燻っていたKurt Cobainの胸に深く刻まれたというのも興味深い事実です。

 背骨を抜き取られたような腑抜けたポップ・ソングの雨あられ。音質も音の作りも貧弱としか言いようのない出来なのですが、ほんわかとした憎めない歌とメロディーが炸裂すると、もう抗う術がありません。胸躍る瞬間に何度も襲われてしまいます。

 NirvanaあるいはEugenius経由でこのThe Vaselinesに触れたとなると、思い切り肩透かしを食らう羽目になるのでしょう。かく言う当方も例外ではなく、がっかりはしなかったものの時間をかけて聴き込んで行った次第です。

 一旦慣れてしまえば後は楽なものでして、これがギターポップの踏み絵もしくは物差しとして機能することでしょうというのは言い過ぎですが、あとはもう、その痛快さに病みつきなること請け合いです。

 God Bless Les Paul.
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by chitlin | 2006-06-30 01:15 | Pop/Rock

Fun While It Lasted... (1990)

 本作はスコットランドの53rd & 3rd Recordsから産み落とされた貴重な音源の数々をまとめた編集盤、『Fun While It Lasted...』(1990)です。1997年にようやくCD化され、当方のような周回遅れの者にも聴く機会が与えられました。

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 Sandy McLeanやThe PastelsのStephen PastelがShop Assistantsのレコードを発売するために立ち上げたのが、この53rd & 3rd Recordsです。
 “友人のバンドは素晴らしいのにどこもレコードを出してくれない”という理由からだそうです。

 ただし、そんなありふれたインディー精神で終わらなかったのが、このレーベルが今もなお愛されて止まない肝所です。1980年代後半に下積みを経た所属バンドは下記のように心機一転、新たな道へと踏み出すことで夢を果たします。
 

 ・The Boy Hairdressers → Teenage Fanclub

 ・The Vaselines → Eugenius

 ・The Groovy Little Numbers → Superstar

 ・Talulah Gosh → Heavenly

 ・BMX Bandits ≒ Duglas T. Stewart


 さしずめ、惑星直列並みの奇跡的な邂逅です。
 続々と繰り出される稚拙な歌の数々が、実は1990年代初頭に百花繚乱のごとく噴き出した優良ギターポップの兆しであったことに乾杯です。
 
 M3「E102」はカズーの合奏も楽しいBMX Banditsのデビュー曲です。
 前身のPretty Flowers時代をも含め、その後に分派を輩出したことから“グラスゴー青年団”の起源といった具合です。 

 男女2人のユニットによる M7「You Make My Head Explode」は頭ひとつ抜けた存在です。完成度の高さがひと際目立ちます。
 The Groovy Little Numbersのデビュー・シングルからの表題曲です。

 3曲も収録されたTalulah Goshは当時から既に安定した実力を見せ、着実にリリースを重ねていることが判ります。
 M4「Steaming Train」とM12「The Girl With The Strwaberry Hair」での疾走感には堪らないものがありますが、極めつけはやはりM8「Talulah Gosh」です。
 ドラマーのMatthew Fletcher作という変わり種ですが、教会オルガンが被さる終盤で盛り上がりを見せるコーラス・ワークに心を奪われっ放しです。彼らの楽曲の中で何回となく聴いた大好きな1曲です。

 素人臭さ丸出しのM6「Son Of A Gun」は見事に音楽ジャーナリズムの驕りを衝いたThe Vaselinesのデビュー曲です。
 嘘か真か、楽器すら持っていなかったという彼らも今では必要以上に有名な存在になってしまいました。

 本作の目玉は何と言っても、CDではここでしか聞くことの出来ないM5「The Assumption As An Elevator」です。ねじ切れそうなギター音が特徴的なシングルB面曲です。実はNorman Blake参加の『Star Wars』BMX Banditsの中で「Retitled」として再演されてはいます。
 53rd & 3rd Recordsの閉鎖の煽りを受け、The Boy Hairdressersは12インチ・シングルを1枚のみ残してやむなく解散した訳ですが、後のTeenage Fanclubとしての大活躍ぶりは周知の通りです。

 1990年代前半の活躍がなければ、これらの音源もまた一部の好事家に弄ばれるだけだったのかも知れません。

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by chitlin | 2006-05-17 01:19 | Pop/Rock
 BMX Banditsでの活動と平行してJoe Mcalindenが録り溜めたデモ・テープをTeenage FanclubのNorman BlakeがCreation RecordsのAlan McGeeに渡したことから作品化が実現したという全6曲のミニ・アルバムです。

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 グループ名がSuperstarにして表題が『Greatest Hits Vol. One』という挑発的な処女作ですが、その内容はまったく名前負けしておりません。

 M1「Barfly」や必殺の泣きのメロディーが炸裂するM2「The Reason Why」、Paul McCartney直系の美しいピアノ弾き語りのM4「Let's Get Lost」は後のメジャー・デビュー盤にて再録音されました。

 M5「Taste」とM6「After Taste」の合わせ技は当社比20%増の味わいです。

 何と言っても白眉はM3「She's Got Everything I Own」です。爽快感とほろ苦さが同居するギターポップの鑑のような1曲です。
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by chitlin | 2006-02-20 01:18 | Pop/Rock