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by chitlin
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The Ballroom / Preparing For The Millennium (1998)

 先月、紙ジャケット仕様CDとしてまとめて発売された一連の作品の中で核となるのが、The Millenniumの『Begin』であることに間違いはないでしょう。
 今回採り上げるThe Ballroomの未発表音源集は、その表題通りCurt BoettcherにとってThe Millenniumに至る大いなる助走であると言えます。

The Ballroom / Preparing For The Millennium (1998)_e0038994_23572725.jpg

 The BallroomはCurt Boettcherと女性のMichele O'Malleyを軸にSandy SalisburyとJim Bellを加えた4人組ですが、後にThe MillenniumのメンバーとなるLee MalloryとRon Edgarも参加しています。

 本盤の内訳はおよそ次の通りです。アルバム発売を前提としたThe Ballroomの1966年録音が11曲。同じくThe Ballroomによる没テイクと後に『Begin』収録曲の下敷きになった楽曲、そしてSagittariusの1作目『Present Tense』に流用された楽曲のデモ音源を合わせた8曲。

 The Ballroomの11曲については楽しげなM7「Crazy Dreams」を交えつつ、夢見るようなフォーク・ロックの数々が花を咲かせています。
 M1「Spinning, Spinning, Spinning」はCurt Boettcherと「Windy」The Assosiationの作者Ruthann Friedmanとの共作で、胸躍るような唯一となったシングル盤のA面曲です。音響処理に工夫が見られるM6「It's A Sad World」ではサイケデリック風味すら漂います。
 引き続きCurt Boettcherと共にThe Millenniumを結成するSandy Salisbury作のM8「Magic Time」、M10「I'll Grow Stronger」という2曲も素晴らしいです。
 『Present Tense』に使われたM3「Would You Like To Go」とM9 「Musty Dusty」も勿論、出色の出来です。

 件の8曲のほとんどはCurt Boettcher単独作品のため、彼の曲書きの才能がいかに高まっているかを充分に確認することが出来ます。弾き語りのM12「Another Time」とM17「It's A Sad World」を除き、デモ音源ながらバックトラックが付き、コーラスワークも含めた編曲の完成度には目を見張るものがあります。

 収録曲の音質は押し並べて良好と言えませんが、旧Rev-Ola Recordsから復刻されるまで日の目を見なかったことがまったく不可解なほどにどれもこれも財宝のような輝きを放っています。



 Creation Recordsが閉鎖されたため、傘下の復刻専門のRev-Ola Recordsから発売された作品も本CDを含め同時に廃盤の憂き目に遭うこととなりました。

 当時、ほとんど忘れられた存在だったMicrodisneyにJosef Kや身内のThe Timesから憧れのFred NeilやAlex Chilton、The Modern Lovers、Kim FowleyやThe Millennium、Martin Denny、Yma Sumacまで主幹Joe Fosterの趣味丸出し加減が痛快でした。

 Cherry Red Records傘下に移ってからも彼の姿勢は変わらず、それどころか輪をかけて突っ走っている始末です。

 Curt BoettcherやSandy Salisbury、Lee Malloryのソロ作品は言うに及ばずThe Eternity's Children、Roger Nichols & The Small Circle Of Friends、The Merry-Go-Round、The Carnival、Euphoria、Chuck & Mary、The Feminine Complex、Joe & Bing、Wanda De Sahなどの復刻作品を矢継ぎ早に発売。
 そして身内のBiff Bang Pow!やThe Loftと来てThe Fool、果てはLittle RichardにRay Charlesまでやりたい放題です。
by chitlin | 2006-04-02 23:57 | Pop/Rock