The Vaselines / Dum-Dum (1989)
2006年 06月 30日

Eugene KellyとFraces McKeeの2人を中心とし、リズム隊を入れてバンドの体裁を取ってはいるものの、ドラマーにはEugene Kellyの兄弟を引っ張り込んだ訳ですから素人集団丸出しには違いありません。
持ち上げては落すイギリスのメディアとは無縁の立ち位置にして、マッチョな印象を纏うロック・ミュージックなるものの価値観を木っ端微塵に砕く姿勢。そんな彼らが奏でる音楽が海を渡り、アメリカの片田舎で燻っていたKurt Cobainの胸に深く刻まれたというのも興味深い事実です。
背骨を抜き取られたような腑抜けたポップ・ソングの雨あられ。音質も音の作りも貧弱としか言いようのない出来なのですが、ほんわかとした憎めない歌とメロディーが炸裂すると、もう抗う術がありません。胸躍る瞬間に何度も襲われてしまいます。
NirvanaあるいはEugenius経由でこのThe Vaselinesに触れたとなると、思い切り肩透かしを食らう羽目になるのでしょう。かく言う当方も例外ではなく、がっかりはしなかったものの時間をかけて聴き込んで行った次第です。
一旦慣れてしまえば後は楽なものでして、これがギターポップの踏み絵もしくは物差しとして機能することでしょうというのは言い過ぎですが、あとはもう、その痛快さに病みつきなること請け合いです。
God Bless Les Paul.