サンドラ・ジュリアン / セクシー・ポエム (1972)
2006年 07月 04日
“すべての音盤はすべからくターンテーブル上(CDプレーヤー内)で平等に再生表現される権利を有する”
この宣言通り、この世の果てに打ち捨てられた特異な歌謡曲の亡骸を掬い取るべく活動に勤しむ幻の名盤解放同盟。
闇に蠢く業が深い歌謡曲の一大絵巻として彼らが丹精込めてまとめ上げたシリーズを採り上げて行きます。
お色気編と言えど、前半では楽曲自体の出来になかなか好感を持てるほどです。
M5「モノローグ〜サンドラの恋」の途中に喘ぎ声が入る程度ですので、意外とまともに聴き進むことが出来ます。
アルバムの冒頭を飾るに相応しいM1「モノローグ〜ジュテームはさよならのはじまり」はフランス語を交えた、出演映画の主題歌でもあります。ここでもクィーカが密やかにさえずります。
M2「恋するサンドラ」やM3「経験」、M4「ジュリアンの恋」、M8「雨がやんだら」といったヴォーカル曲などは彼女の片言の日本語がかえって微笑ましいほどです。
後半には、共演した池玲子との濡れ場を実況するのみに終始する楽曲もあるにはあります。しかし、それにしても随分とグルーヴィーなバックトラックが付きます。
以前に採り上げた『恍惚の世界』池玲子とは指向の違いがはっきりしています。
それもそのはず、制作を手掛けたのは才人、荒木一郎です。M6「サンドラから愛をこめて」などは歌が入らない美しいボサノヴァです。
勿論、本盤を聴くには念のために音量を絞るかヘッドフォンを利用する必要がありますが。