Syd Barrett / The Madcap Laughs (1970)
2006年 07月 13日

手持ちのCDはわずかにソロ1作目の『The Madcap Laughs』のみです。どちらかと言えば、Television Personalitiesによる「I Know Where Syd Barrett Lives」を愛聴している訳です。
初めて聴いた20代前半の頃にはその不気味で変態的な曲調の数々に馴染めずにいました。
その後、勤務先で馬車馬のようにこき使われるようになり、心身ともに疲れ切った時期に再び手を伸ばしたことから貪るように聴き込むこととなりました。
濁り切った血液にあたかも新鮮な酸素を送り込んでくれるかのように。それは、彼が奏でるギターの奇怪なコード・ストロークと歌声が身体に優しく降り注ぐかのようでした。
M3「Love You」の奇妙奇天烈な展開の具合には、聴いているこちらの自律神経がいかれてしまいそうになってしまうと感じてしまいます。
それ以上に惹き付けられたのがM8「Golden Hair」です。James Joyceの詩を引用した2分に満たない小品なのですが、その澄み切った佇まいに打ちのめされた次第です。
追加収録された初期テイク6曲分にしても、その過激さは本編の収録曲以上の危うさを孕んでいます。