美空ひばり / 映画主題歌集 Vol.1 (1995)
2006年 08月 10日
本作は文字通り、松竹映画の主題歌を軸に構成されています。映画歌謡とでも言うべき楽曲群ではありますが、一切合切を引っ括めて戦後の昭和歌謡は勿論、連綿と紡がれて来た日本歌謡界の頂点に立つのは言わずもがなです。
天下一品の歌唱、表現力、リズム感の素晴らしさにしても同様です。
1949年のデビュー曲、M1「河童ブギウギ」は不発に終わったそうですが、同年のM2「悲しき口笛」のヒットと共に同名映画で初主演を果たして以降、その大躍進は本作を聴くまでもなく周知の通りでしょう。
軽妙洒脱なM13「ひばりの花売娘」が個人的には掘り出し物です。
簡素なブックレットから辛うじて窺えるのは、ほとんどの収録曲の作曲を手掛けているのが万条目正であることです。
スウィングする演奏と共にブギウギに代表されるようにブルース、ロカビリー、マンボなどを昇華し、天才少女歌手ぶりを発揮して行く萌芽を見て取れる一方で、その路線を押し進めた万条目正の大いなる野望が見え隠れします。