Talulah Gosh / They've Scoffed The Lot (1991)
2006年 08月 12日

二十歳を過ぎた頃、後身に当たるHeavenlyの2枚目のアルバム『Le Jardin De Heavenly』(1992)をきっかけに彼女たちにほだされ、このTalulah Goshに遡って行った訳です。
既に彼女たちのシングル集の『Rock Legends: Volume 69』(1988)を入手出来ずにいまして、いちばん手っ取り早かったのが本盤でした。
オックスフォードの大学生、Amelia FletcherがElizabeth Priceと出会って“女の子だけのバンドを組む”ことを目標にしたものの、それが叶わず恋人のPeter Momtchiloffや弟のMatthew Fletcherを引っ張り込んだ結果がTalulah Goshだった訳です。
1960年代のガールポップとパンクを掛け合わせた理想的なグループであると未だに確信を持っています。
驚いたことに53rd & 3rd Recordsから最初のシングル盤『Beatink Boy』(1986)を発売するより先にBBC Radio 1の『Jenice Long Show』においてセッションを持ったとのことです。
それがM1「Talulah Gosh 」からM4「Sunny Inside」までです。Elizabeth Priceがリードを取っていると思しきM2「Do You Remember」とM4「Sunny Inside」は、残念ながら荒削りで一本調子の出来です。
翻ってM3「Looking for a Rainbow」と来たら、手拍子ときらきらと輝くギターのアルペジオから始まり、骨の髄まで溶けてしまいそうな旋律と歌声に身震いしてしまうほどです。これほど胸が高鳴る思いをさせられることも珍しく、独り聴き入っては勝手に頬を赤らめてしまう始末です。
M1「Talulah Gosh 」は後に53rd & 3rd Recordsからの3枚目のシングルとして発売される訳ですが、終盤にかけて盛り上がる肝心要の箇所にオルガンもコーラスも入らない初期ヴァージョンと言えるものです。食い足りない演奏ではありますが、Amelia Fletcherによる天使のように無垢な歌声は永遠の輝き放っています。
2回目のBBC Sessionとしてかの名物DJ、故John Peelが取り仕切る『John Peel Show』のために録音したM5「My World's Ending」からM9「Spearmint Head」までがB面に収められています。
そこに挟み込まれたM6「Be Your Baby」とM7「Break Your Face」、M8「In Love for the First Time」の流れが絶品です。Ramonesも真っ青な怒濤の3連打を喰らいポゴダンスもどこ吹く風、可憐な高速パンクに昇天すること間違いなしです。
本盤が発売されるまで、M1「Talulah Gosh 」以外の楽曲がレコード化されていなかった事実を見逃せません。
同期のThe VaselinesやThe Groovy Little Numbersといった53rd & 3rd Records所属のグループは勿論、その他のギターバンドたちと比較してもその質、量において軽く勝っていると言えるでしょう。