BMX Bandits / Sad?/E102 (1986)
2006年 08月 18日

この12インチ・シングルを手に入れたのは割と最近のことです。中古盤、しかもシングル盤に対して大枚を叩くなんてことはとても考えられなかったのですが、30代にもなると思い切りがよくなってしまい散財の引き金となってしまっています。
7インチ・シングルの場合にはA面収録のM1「Sad?」とM2「E102」のみが、それぞれ両A面扱いだそうです。
1985年、Duglas T. Stewartは前身グループのPretty Flowersの一員だったSean Dicksonと引き続き組み、共に詞曲を手掛け始めます。後にそのSean Dicksonと一緒にThe Soup Dragonsを結成するJim McCullochが加わることからBMX Banditsが形作られたようです。
同じ頃に53rd & 3rd Recordsを興したStephen Pastelから早々とシングル制作の話を持ちかけられたそうです。
件のM1「Sad?」とM2「E102」にしてもやはり初期The Soup Dragonsに通じるものがあります。しかも楽しさとポップさが弾け、いかにもBMX Banditsらしいという独自性を既に確固たるものにしています。
M1「Sad?」については次の12インチ・シングル『The Day Before Tomorrow』に収録された再録音ヴァージョン「Sad!」を先に聴いていましたから、若干の違和感を持ちつつもこれはこれで牧歌的な弾け具合が微笑ましく感じられます。
M2「E102」についてもライヴ盤『Totally Groovy Love Experience』(1989)での大雑把なテイクを先に聴いていましたので、カズーが吹き鳴らされるこちらの可愛らしさもまた、いとおかし。
B面の初っ端のM3「The Cat From Outer Space」は、同じくPretty Flowersの一員だったNorman Blakeとの共作曲です。Pretty Flowers時代の演目なのかも知れません。
後にThe Boy HairdressersとTeenage Fanclubを結成するNorman Blakeは終盤で不穏に轟くリコーダーを担当しています。
M4「Strawberry Sunday」とM5「Groovy Good Luck Friend」は共に同じ1986年7月のステージからのライヴ音源です。演奏の下手さ加減は百も承知でしたが、見事に想像を上回るヘロヘロな出来です。
特にM4「Strawberry Sunday」の場合、1番のひら歌の段階でドラム・マシンが叩き出す貧相なビートが狂い始め中断の憂き目に遭い、やり直しているほどです。
最初はその様子をそのまま収録していることに驚きましたが、Duglas T. Stewartの変わらぬ人懐っこいパフォーマンスで以てその場を取り繕う頑張りをも含めて最も彼らしいひとコマとも言えるでしょう。
これらのライヴ音源について、かのNorman Blakeがドラマーとしてクレジットされていますが、両曲とも生ドラムが入る余地がありません。後にThe Groovy Little NumbersとSuperstarを結成するJoe McAlindenと共にコーラスを担当していることには納得出来るものの、この点については疑問の残るところです。
10年後のシングル『We're Gonna Shake You Down』(1996)の表題曲M1「We're Gonna Shake You Down」で以て取りも直さずこうしたパーティー・バンドの頃へと原点回帰を宣言するも、今ではそれから更に10年も経ってしまった訳ですから何とも感慨深いものです。