Kenny Rankin / Silver Morning (1975)
2006年 10月 18日
ほかに言葉が見つかりません。Kenny Rankinの 『Silver Morning 』(1975)のことです。

こんなにも素晴らしい音楽があるなんて。
そして、それを今の今まで知らなかったなんて。今になってこのようなことに直面するなんて、こんな想いに駆られるなんて。
驚嘆の連続です。
何なのでしょう、このM1「Silver Morning」の終盤での追い込みは。その壮大かつ怒濤のオーケストレイションに飲み込まれる思いです。こんな盛り上がりが待っているなんて。
無論、ひら歌の部分から美しい旋律が紡がれています。
M4「People Get Ready」Curtis MayfieldやM7「Penny Lane」The Beatles、M10「Birembau」Barden Powellを粋にカヴァーしています。
これだけではありません。カヴァー曲に限らず収録曲すべてにおいて洗練されています。
M3「In The Name Of Love」、M9「Catfish」を始めとする自作曲が冴え渡っていることは言うまでもありません。
残念なことに、折角のM6「Haven't We Met」の音質が芳しくないと感じられる場面がありますが。
それはともかく、追加収録されたM11「Why Do Fools Fall In Love」Frankie Lymon & the Teenagersでさえ優雅な佇まいを見せています。
凍えた心を溶かすような温かみのある歌声と華麗なスキャット。洒脱なギター捌きに優美な編曲の数々。聴けば聴くほどに味わいが増す懐の深さも驚異的です。
それもそのはず、フォークやジャズ、ラテン、ボサ・ノヴァなどが絶妙に混ざり合い極上のポップミュージックとして昇華しています。
本作『Silver Morning』の原盤の権利をKenny Rankin自身が手に入れたことによって、自主出版という形での初CD化であるそうです。
これまでRhino Recordsから発売されているベスト盤すら聞いたことがありませんでした。
一生モノです。