The Spoils Of War / The Spoils Of War (1969)
2007年 08月 15日
などと言っておきながら夏とはまったく関係のないThe Spoils Of Warの同名アルバム、『The Spoils Of War』(1969)をここに紹介いたします。

極悪なジャケット・デザインが購入意欲を萎えさせるか俄然、掻き立てるのか真っ二つに割れるでしょう。
奇想天外、奇妙奇天烈にしてやりたい放題をやっては外しまくる本作を聴き進めて行きますと良い意味で次々と期待を裏切られ、想像の左斜め上へと素っ飛んで行くのです。
常軌を逸した音作りはコード進行なんぞを度外視するのは朝飯前、その支離滅裂さは随一ではありますけれど、脱音楽とも呼べなくもない361°屈折してしまった大掛かりな仕掛け満載のマッド・サイケデリック・ロックン・ロールです。
脈絡のない無意味な騒音を垂れ流しているだけではないかと思わせておいて、M4「You're The Girl」のように穏やかで緩いフォーク・ロックやオルガンがたなびくM5「Now Is Made In America」を持って来たりするのです。
なかなかに聴き応え充分でして、決して侮ることが出来ない強者ですよ。
女性ヴォーカルも絡むM8「The Record Rejects / After The Party / Lonesome Is A Truer Word / The End」などは言葉では言い表せない破綻ぶりをあっさりと提示してくれます。
それは誰も辿り着いたことのないサイケデリアに違いありません。
最強のサイケデリック・ロックと信じて疑わないFifty Foot Hoseに匹敵するか、あるいはそれを凌駕するかのような彼岸ぶりです。
告白しましょう。
私、chitlinはそんな『The Spoils Of War』を愛して止みません。