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by chitlin
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Primal Scream / Screamadelica (1991)

 Creation Recordsのみならず1990年代を代表するアルバム作品、Primal Screamの『Screamadelica』(1991)。
 本盤がシングル曲の寄せ集めのようなものであることも今となってはどうでも良いことです。

Primal Scream / Screamadelica (1991)_e0038994_23515857.jpg

 『Summer Of Love Volume 2: Turn On(Mind Expansion & Signs Of The Times)』(1992)などと来れば、“セカンド・サマー・オヴ・ラヴ”などという便利な言葉がありまして。

 つい先日、亡くなってしまったFactory RecordsのTony Wilsonがその身を挺して礎を築いたであろう1980年代末から紡がれたアシッド・ハウスやレイヴ・パーティーといった地下世界の潮流の終着点がPrimal Screamのこの『Screamadelica』である、なんてことを言ってみたくなります。

 初めて聴いたのは割と最近のことであることを白状しますけれど、その時も今もその印象は想像以上に音が薄っぺらいといったところなんです。

 軽薄ながらも(だからこそ?)祝祭的な雰囲気と支離滅裂なまでに高揚するアシッドかつサイケデリックな感覚が交互に襲って来るというインディー・ダンスのリズムが不思議と覚醒感をもたらします。

 前半と後半の起点となるM1「Movin' On Up」とM6「Come Together」ではともにゴスペルをうまく取り込んでいるところなんかが象徴的ですね。
 グラウンド・ビートとメリスマ唱法との幸福な出逢い。最高ではないですか。

 13th Floor ElevatorsをカヴァーしたM2「Slip Inside This House」では存在しないはずの13階の扉をいとも簡単に我々に開け放ち、長尺の酩酊ハウスのM3「Don't Fight It, Feel It」と浮遊感たっぷりのM4「Higher Than The Sun」という前半の流れで以て我々を宙高く突き上げる。
 最高ではないですか。

 M7「Loaded」では物凄く興味深い仕掛けが。
 Mudhoneyのデビュー・ミニ・アルバム、『Superfuzz Bigmuff』(1988)収録の「In 'N' Out Of Grace」と同様に享楽的なバイカー映画『The Wild Angels』(1966)から、台詞がサンプリングされているのです。

 “We want to be free! We want to be free to do what we want to do! And we want to get loaded. And we want to have a good time! And that's what we're gonna do. We're gonna have a good time. We're gonna have a party!”

 これこそまさにPrimal Screamの存り方を表しているのではないでしょうか。





♪「Come Together」Primal Scream

by chitlin | 2007-08-17 23:54 | Pop/Rock