Tony, Caro & John / All On The First Day (1972)
2007年 09月 09日
先月、ご紹介しました『The Spoils Of War』(1969)もShadoks Music謹製の復刻でしたしね。

Tony, Caro & Johnという何とも安易なグループ名の通り、その内容についても録ったそばから出しましたと言わんばかりの手作り感覚が丸出しです。
一聴してどこか道を踏み外してしまったようなアシッド・フォークとしか申し上げるほかございません。
歌も担当するギタリストとベーシスト、時たま顔を出す女性ヴォーカルという簡潔な編成ですけれども、よれた歌声に素っ頓狂なリコーダーの調べやひん曲がったギターの音色が良く似合っています。
素っ頓狂と言えば、M6「Sargasso Sea」を筆頭に奇々怪々な効果音を気まぐれに挿し込んだりしていまして、そういうのっぴきならない部分はかのFifty Foot Hoseに通じるものが多大にありますよ。
イギリス出身ながら深い霧が立ち籠めるような夢幻フォークとは程遠く、どちらかと言いますとゴニョゴニョとしたアシッド臭が立ち上るヒッピー崩れの脱力フォークに肩透かしを食らうことしばしばなのですけれど、否応なしに身を委ねたくなる瞬間が訪れます。
女性ヴォーカリストが主に歌うM9「Waltz For A Spaniel」やM15「Swirling Sphere」などがそれです。
この手の楽曲がもっと多く収録されていたとすれば希代のサイケデリック・フォーク名盤として名を馳せた、かも知れません。